「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【異次元の少子化対策】始まった議論、定まらない財源、また極端に走るだけか

 

 自衛隊護衛艦が瀬戸内海で座礁し、海上保安庁の巡視艇も座礁しました。ちょっとした不注意からだったのでしょうか。お金をかけて装備を充実させても、こんな運用ではムダになるだけです。千葉でおきた凶悪事件の容疑者として現役の自衛官が逮捕されました。不安を覚えます。これで国が守れるのでしょうか。

少子化と国防

 少子化の影響は自衛隊に及び、日本の「国防」を担う人材不足が目立っているといいます。

「国防人材」が足りない サイバー領域、世界に後れ: 日本経済新聞

 サイバー領域における高度な人材確保に懸念があると、記事は指摘します。

いまの自衛隊には1万6千人超が足りない。陸海空各自衛隊で法律上の定員は25万人でも、実際に勤務するのは2022年3月末時点で23万人にとどまる。余力ある設定のためこれまで100%に達したことはない。(出所:日本経済新聞

 国を守るという高貴な理念と実態が大きく乖離していないでしょうか。

 

 

少子化対策

 政府が「こども政策の強化に関する関係府省会議」の初会合を開いたそうです。

 首相の「異次元の少子化対策に挑戦する」との指示を受けて設けられた会議といいます。座長には小倉少子化相がつき、「かつてない踏み込んだ大胆な対策に関するたたき台をつくっていきたい」と述べたそうです。

少子化「予算倍増」先行、試される抜本改革 政府初会合: 日本経済新聞

 首相は子ども関連予算の「将来的な倍増」を表明し、6月ごろにまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に「財源も含めて大きな方向は書き込む」としているといいます。

 社会保険料からの拠出や消費増税などで財源を捻出する案が取り沙汰されるものの、未だ道筋は明らかになっていないそうです。年金も含め、給付と負担のバランスを見直す議論が欠かせないとします。

赤字国債で対応すれば、将来世代への負担の先送りにしかならない。長い目で見れば、少子化をかえって助長しかねない。(出所:日本経済新聞

 

 

 記事は、内閣府がまとめた少子化に関する意識調査で子どもを増やしたくない理由に「お金がかかりすぎる」をあげた人が5割を超えているといいます。日本は低成長が続き、賃金上昇率も低迷していることの影響を示唆します。

財源論

MMT(現代金融理論)や消費税減税といった世論へのインパクトが強い政策に走りがちな「極端主義」が「明らかに今の政治には存在している」と懸念を示し、「言葉の巧みさで競い合う極端主義を排し、『正しい中庸』を探っていくのがあるべき政治の本質だ。(出所:JIJI.com)

「増税で福祉無償化」永田町が注目 慶大・井手教授が唱えるこの国の理想【政界Web】:時事ドットコム

「何が社会に必要なものか。そのために必要な財源を考え、どんな税をどのくらいの税率で、どういう人たちに負担をお願いするか皆で真剣に話し合っていく中で、両極端の主張の間の中庸を探っていく」と主張するのは慶応大の井手英策教授、「これが財政民主主義という考え方」といいます。

 記事によれば、防衛費の増額など昨今の政界の動きは、井手氏の目には「民主主義の本質に関わる危機」が近づいていると映っているといいます。

議論もせず、どんぶり勘定で防衛費を倍にしようと言っているだけ。これは最近の日本政治に通底する傾向です(出所:JIJI.com)

 さらに「膨大な国債を押し付けられる今の子どもや未来の子どもたちはその意思決定に関わることさえできない」と井手氏は語り、「民主主義が息絶えつつあるということ」といいます。

 

 

論語に学ぶ

子夏問うて曰わく、巧笑(こうしょう)倩(せん)たり、美目(びもく)盼(へん)たり。素以て絢(けん)を為すとは、何の謂いぞや、と。子曰わく、絵事(かいじ)は素を後にす、と。曰わく、礼は後か、と。子曰わく、予を起こす者は商なり。始めて与に詩を言う可(べ)きのみ、と。(「八佾第三」8)

 弟子の子夏が「詩に笑顔うるわし。眼元涼やか。白粉の美しさ。とあります。どういう意味でしょうか」と質問します。孔子は「絵を描くときは、まずは色を使う。そのあと白色の顔料「胡粉」を色の間は塗って完成するのだ」と答えると、子夏は「礼は後でよろしいのですか」と問います。すると孔子は「私の言わんとするところを表してくれるのは、商(子夏)だ。お前となら詩を語り合える」と答えます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 子夏の「礼が後か」との言葉は「まずは政治や教育が先にあって礼が成立するのか」と解釈するそうです。政治という色を礼で縁どれば、文があってまばゆく美しなるともとれそうです。礼とは元来相手に対する思いやりを伝える所作、行為です。

----

 今の政治を続けていては、礼やモラルが向上することはなさそうです。少子化に歯止めがかかることもなく衰退が加速し、また国を守ることも危うくなっていくのかもしれません。