福岡、静岡で悲惨な事件が起きました。悲しいことです。社会の雰囲気が悪い方へ向かっていないかと心配になります。
終わらない原発問題
福島第一原発事故をめぐる裁判が続いています。東京電力の旧経営陣3人が強制的に起訴され、その控訴審の判決で東京高裁で言い渡され、無罪だったといいます。
【速報】原発事故 巨大津波予見できなかったと判断 東京高裁 東電旧経営陣3人二審も無罪 「長期評価は情報として不十分」 裁判所前では落胆の声 | TBS NEWS DIG (1ページ)
この東京電力の旧経営陣3人は、高さ10メートルを超える津波を予測できたのに対策を怠り、双葉病院の患者ら44人を原発事故の避難によって死亡させるなどした業務上過失致死傷の罪に問われていたといいます。
記事によれば、裁判の争点は、「巨大な津波を予測できたか(予見可能性)」と「対策を取れば事故は防げたのか(結果回避可能性)」といいます。これらについて、これまでの裁判で判断が分かれているそうです。
司法の判断なので、それはそれで受け止めるしかないのでしょうが、これで終わりにしてよいのでしょうか。
判決は政府機関の地震予測について「津波の襲来の現実的可能性を認識させる情報ではなかった」と指摘した。旧経営陣には原発を停止させるほどの義務はなく、ほかの津波対策を講じたとしても事故を回避できたとは認められないと結論づけた。(出所:日本経済新聞)
しかし、現実に大震災が発生し、原発は津波に飲まれ、大惨事を引き起こし、多くの犠牲者を出しました。このままでは同じような悲劇が繰り返されることになるのではないかと心配になります。何か対策はないのでしょうか。その上、政府はまた原発推進に舵を切っています。
強制起訴制度での無罪判決が相次いでいると記事は指摘します。今回の判決でも検察が不起訴とした事件で有罪を得る難しさが改めて浮き彫りになったといいます。
法律を厳格に適用して統治することの限界のような気がします。
論語に学ぶ
賜(し)や、女(なんじ)は予を以て多く学びてこれを識(しる)す者と為すか、と。対(こた)えて曰わく、然り。非なるか、と。曰わく、非なり。予は一以て之を貫く、と。(「衛霊公第十五」3)
賜(子貢)よ、お前は私を多く学んでそれを記憶している者 知識人と思うかと、孔子が質問します。子貢は「そのとおりと存じます。違いますでしょうか」と答えると、孔子は「違うな。私は、学んだ知識を一理(道徳)をもって貫通(統合)しているのだ」といいます。
「予は一以て之を貫く」、「一」を忠恕と解釈していいのかもしれません。
「忠」は誠実、「恕」は他者への思いやり
こうした精神性を社会として育んでこそ、法が活きるのではないでしょうか。
新宿歌舞伎町の小さな通所介護センター
新宿歌舞伎町でホストクラブなどバーや飲食店を運営している企業が、美容サロンやギャラリー、能舞台の運営、介護事業まで展開しているそうです。
「業界は変わっても、提供するコアなサービスは同じ」、それをもとに業態の幅を拡大していったそうです。
介護サービスにおいても、利用者に丁寧なヒアリングを行い、それをもとにパーソナルデータを作成、個別のプログラムを提供しているといいます。
歌舞伎町ホストクラブが介護事業 意外な共通点とコロナ禍の決断:日経ビジネス電子版
お客さん全員に同じサービスを提供するのはマニュアルサービス。個別のサービスを提供するのがプロフェッショナルサービス。当社では、以前からプロフェショナルサービスを軸に飲食業を展開してきました。今はさらに一歩進んで“主客一体”サービスを目指しています。お客様と一緒に考え、問題を解決していく。それはホストクラブも介護サービスも同じ。多角経営というよりは、横展開。同じサービスを別事業に応用しているイメージです。(出所:日経ビジネス)
この創業者は高齢者施設を見学して、高齢者が「楽しみに行く」ような場所を作りたかったといいます。
「オフィスの横に介護施設があって、手伝いたいという若者が集まってきて、高齢者もふらっと遊びに来られる。そういう場になるのが理想ですね」と語っているそうです。
大企業には託児所はあっても、デイサービスはないですよね。子どもだけじゃなくて、おばあちゃんを連れて来られる。そんな場所があってもいい気がするんですよね(出所:日経ビジネス)
こんな視点もあるのと感心します。
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悲惨な事件はニュースとなって流れますが、よいことはニュースになりません。政治家の暴言や罵詈雑言、茶番劇もニュースになりますが、馬鹿馬鹿しさを正そうとしてもニュースになることはないのでしょう。不思議なことに人々は悪いニュースに引き寄せられてしまうのかもしれません。
どうすれば社会の空気感が変わるのでしょうか。不正行為も犯罪もなくなるような社会の雰囲気になることはあるのでしょうか。
「参考文書」
東京電力旧経営陣に再び無罪 福島第1原発事故で強制起訴: 日本経済新聞