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【グローバルリスク2023】日本が世界のリスクの中心地か、米中対立、生活費の危機

 

 ダボス会議 WEF世界経済フォーラムの年次総会が16日から3年ぶりに対面で開催されます。今年の年次総会のテーマは「分断された世界における協力の姿」といいます。

 世界の分断と今後の協調の可能性や、インフレ、食糧危機、気候変動といった問題のなどが議論されるそうです。

ダボス会議、16日から開催 世界の分断と協力を議論: 日本経済新聞

 また、WEFはダボス会議に先立ち、国際社会を取り巻くリスクを分析した「グローバル リスク レポート 2023」を発表、短期的にはインフレの高止まりなどによる「生活費の危機」、長期的には「気候変動対策の失敗」を最大のリスクに挙げたそうです。

 

 

 JIJI.comによれば、報告書は、世界的にエネルギーや食料の供給が逼迫する中、今後22年以内に生活費の高騰が「より広範な人道的危機に発展する恐れがある」と指摘し、また、今後10年のうちに世界各国が協調し、気候変動に効果的な対策を施さなければ「地球温暖化と環境破壊が続く」と警告しているといいます。

懸念、アジア太平洋地域での地政学リスク

「グローバル リスク レポート 2023」に目を通してみれば、今後 2 年間で、世界の大国と国家による市場への介入との間の衝突が増加し、経済対立は当たり前になるといいます。経済安全保障が優先され、他者の台頭を抑制するためにますます攻撃的に展開されると指摘します。これまでのグローバル経済の脆弱性を浮き彫りにし、不信と分断の悪循環をエスカレートさせるリスクがあるといいます。

Global Risks Report 2023 | 世界経済フォーラム

地政学が経済よりも優先されるため、長期的には非効率な生産が増加し、価格が上昇する可能性が高くなります。(出所:世界経済フォーラム

 レポートは、特にアジア太平洋地域において、懸念の高まりを引き起こしていると指摘しています。

 米中の経済、軍事における覇権争いに激しくなっているということなのでしょう。何もそれに好んで巻き込まれることはないような気がします。ましてその一方に加担し、先兵になるようことをすれば、喜ぶのは対立している当事国の米中で、日本は損するだけではないでしょうか。

 もう少し賢く、対立の間を上手にすり抜けて、平和に導く努力とともに、漁夫の利を狙うあざとさをもつべきなような気がします。日本が対立に油を注いで、火を大きくすることはないのでしょう。

 

 

論語に学ぶ

中庸の徳為る、其れ至れるかな。民 鮮(すく)なきこと久し。(「雍也第六」29)

 道徳における中庸の位置は、この上ないものだ。しかし、人々は中庸を欠き、争うようになって、もう久しいと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

「中」は偏らず、過ぎたると及ばざるとのないこと。

「庸」は平常、あたりまえで変わらないこと。

「中庸」とは、どちらにも片寄らないで常に変わらないことを意味します。

 孔子の教えにあっては、忌憚のない直情径行を夷狄としていやしみ、社会において突出するような行為をきらって、庸徳庸行を尊ぶといいます。

 こうした東洋の教えを知る国が、首相の行動をみて、それではまるで「夷狄」ではないかと忌み嫌うのではないでしょうか。

 

 

 WEFの分析だけが正しいということはないのかもしれませんが、肌感覚ではよく理解できるものです。

「生活費の危機」が現実のものとなり、それによって、社会がより不安定化していくことが最大のリスクのようにも感じます。そうしたことが顕在化してきていないでしょうか。

 いずれにせよ、日本が世界のリスクの中心地になることは避けなければならないのでしょう。

 

「参考文章」

「生活費の危機」が最大リスク 世界経済フォーラム報告書:時事ドットコム