「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

歴史から知る日本の問題点、そこから学ぶ日本の行く先

 

外敵を異様におそれるだけでなく、病的な外国への猜疑心、そして潜在的な征服欲、また火器への異常信仰(出所:「ロシアについて 北方の原形」司馬遼太郎 文春オンライン

 司馬遼太郎さんは、著作「ロシアについて 北方の原形」で、ロシアをこう評したといいます。

外国への猜疑心、火器への異常信仰——司馬遼󠄁太郎が40年前に喝破した「ロシアの特異性」の中身 | 文春オンライン

 また、「体制がどうであれ、その国が、固有の国土と民族と歴史的連続性をもっているかぎり、原形というものは変わりようがない」と指摘しているそうです。

平原にあってつねに外敵におびえざるをえないというのが、ロシア社会の原形質のようなものになっており、いまなおつづいているといえないでしょうか。

文化も、他の生物学的組成と同様、しばしば遺伝します。ロシア人の成立は、外からの恐怖をのぞいて考えられない、といっていいでしょう。(出所:文春オンライン)

 

 

 司馬遼太郎さんの着想、想像力にハッとします。

プーチン大統領の本質

 記事は、プーチン大統領の本質を司馬さんの著述から考察しています。

モンゴル人による長期支配は、被支配者であるロシア民族の性格にまで影響するほどのものでした。

十六世紀になってはじめてロシアの大平原にロシア人による国ができるのですが、その国家の作り方やありかたに、キプチャク汗国が影響したところは深刻だったはずだと私は思っています。(出所:文春オンライン)

 ロシア平原はモンゴルによって荒らされ続け、制圧され、「タタールのくびき」といわれる暴力支配の時代が、259年の長きにわたって続いたといいます。それがロシアの原形なのでしょうか。

歴史

 日本にも歴史があり、国家の成立という意味においては、また同様なのでしょう。それが今日の日本の文化や日本人の性格に影響しているということでもあるのでしょう。

 日本においては、古代から大陸からの外圧を感じ、常にそれに対処してきた歴史があります。260年にも渡る太平の世であった江戸幕府が瓦解すると、日本は外圧に耐えきれなくなります。そして、幕府を倒した志士たちはそれに対抗していくようになっていきます。あたかもそれは好戦的な国に変貌していくということでもあったのでしょうか。

 しかし、それも先の大戦に敗北することで一掃されていきました。

 

 

 今また大陸からの脅威を感じるようになっています。韻を踏んで、同じ歴史を繰り返してしまうのか、それとも歴史を活かして過ちを繰り返すことを避けることができるのでしょうか。

坂の上の雲」明治初期の日本

「まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている」

との一文から、司馬さんの「坂の上の雲」は始まります。

坂の上の雲』とは坂の上の天に輝く一朶の雲を目指して一心に歩むが如き当時の時代的昂揚感を表したもので、日露戦争とは官から民の端々までがそういった「国家が至上の正義でありロマンティシズムの源泉であった時代」の情熱の下に一体となって遂行された国民戦争であり、「国家の重さに対する無邪気な随従心をもった時代におこなわれ、その随従心の上にのみ成立した」としている。(出所:Wikipedia

 司馬さんにはこの著作の映像化を許可しなかったそうです。それは「戦争賛美と誤解される」との理由からだったといいます。

 しかし、司馬さんの没後、NHK大河ドラマとは別枠の「21世紀スペシャ大河ドラマ」として放送しました。

 日本に歴史があるように、また大陸側にも歴史があり、東の小国に対する歴史認識もあることなのでしょう。

現代

 岸田首相の独断専行による「巨額防衛費の財源を増税で賄う」との方針が大炎上となり、政局の様相を呈したが、決着先送りの「妥協案」によって短期で収束したと、昨年末の防衛費騒動を時事ドットコムが解説しています。

「防衛増税」政局の裏の〝猿芝居〟【点描・永田町】:時事ドットコム

 その舞台裏は「最大派閥・安倍派内の覇権争い」であり、「政局を装った手の込んだ〝猿芝居〟」との冷ややかな見方があると記事は指摘します。

一連の経過を振り返ると、首相の「防衛増税」を攻撃したのはいわゆる〝安倍チルドレン〟ばかりで、「首相がかねて用意の妥協案で譲歩すると、あっという間に退散した」(岸田派若手)のが実態だ。「結局、安倍氏を信奉する〝遺児〟たちのアピール合戦」(同)に終わった格好で、永田町では「安倍派の内紛を利用した首相らの狡猾(こうかつ)なガス抜き作戦」(自民長老)との皮肉な見方も広がる。(出所:JIJI.com)

「国家・国民を守り抜く使命を果たす」と、首相は大見えを切り、自らの決断の正当性をアピールしたと記事は解説していますが、こんなことで国を守ることができるのだろうかと感じずにはいられません。。

 

 

 岸田政治もまた、ロシアのプーチン大統領と同様に「くびき」に縛られているのでしょうか。

「軛(くびき)」とは、牛馬のくびにあてて車をひかせる横木のことで、自由を束縛するもののたとえといいます。

 岸田首相は「戦前のくびき」に縛られて、その方向に無意識に引き寄せられているのかもしれません。

論語に学ぶ

士は以て弘毅(こうき)ならざる可(べ)からず。任 重くして道 遠ければなり。仁 以て己が任と為す。亦(また)重からずや。死して後已(や)む。亦遠からずや。(「泰伯第八」7)

  家康の遺訓「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし、急ぐべからず.....」の元と言われる曾子の言葉です。

 志のある者は大らかで強い意志を持つ人間でなければならない。その負担が重く、達成まで遠いからである。「仁」人の道が己の任務とする。なんと重いことだ。それも死ぬまで続く。それは重大にして高遠なことであると意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

徳川遺訓

人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。

不自由を常と思えば不足なし。こころに望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。

堪忍は無事長久の基、いかりは敵と思え。勝つ事ばかり知りて、負くること知らざれば害その身にいたる。

おのれを責めて人をせむるな。及ばざるは過ぎたるよりまされり。

 世界史的に見ても、260年という長きにわたって平和で安定した江戸時代は類まれな時代といわれます。

 その歴史を作った家康の遺訓がこの国の「くびき」になれば、未来はもっと希望あるものなっていくのではないでしょうか。