「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

「反撃能力」は何のためか、飛び交うミサイル、劣化する外交力、下落する内閣支持率

 

 また北朝鮮弾道ミサイル2発を発射したそうです。政府が閣議決定した防衛3文書に明記された「反撃能力保有」に反発したとみられるといいます。

日本海に中距離弾道弾2発 「反撃能力」に反発か―北朝鮮:時事ドットコム

 自然な成り行きなのでしょう。壁に向かって勢いよくボールを投げれば、そのボールは勢いよく戻ってくるものです。そのかけた力が反発力となります。

 恫喝する相手に恫喝で応えているようでは、こうなるもまた自然な流れなのかもしれません。

「防衛力強化が外交の説得力になる」と 岸田首相は記者会見で発言しましたが、ほんとうにそうなのだろうかと疑いたくなります。首相が言う現実的なことかもしれませんが、理知的ではなさそうです。

 

 

沖縄の負担

 防衛3文書のひとつ「防衛力整備計画」では、「南西シフト」がより一層鮮明になっているといいます。

 沖縄への負担がさらに増すことになるのでしょうか。県民からは「住民は本当に巻き込まれないのか」との不安の声も上がっているそうです。

南西シフト、有事の備え鮮明 沖縄に「反撃能力」配備か―県民に不安も・防衛力整備計画:時事ドットコム

「少しずつ基地負担が減るかと思いきや、本土復帰前に後戻りしているようだ。やるせない」。(出所:JIJI.com)

合戦となってしまえば、国際社会がどんな反対してもそれを止めることはできずに、甚大な被害が拡大することはウクライナを見れば明らかなことです。対立を緩和させることを怠ってきたからそのような惨劇となったのではないでしょうか。

劣化する外交力、核兵器のない世界はどこへ

「外交の岸田」というのなら、武力衝突に至らないようにするのが外交の役割と、自民党岸田派(宏池会)で長く首相を支えた三ツ矢元外務副大臣が語っています。

岸田政権復活の処方箋とは 今こそ求められる政治の緊張感◇三ツ矢憲生・元外務副大臣インタビュー:時事ドットコム

北朝鮮問題や台湾問題に関しては、日韓や日中で話し合いをした方がいい。甘いと言われるかもしれないが、中国はそんな簡単に(台湾へ)軍事侵攻しないと思う。やれば中国にも犠牲が出る。日本には米軍基地がある。(出所:JIJI.com)

 武力を背景にすることなく交渉することが真の外交力なのでしょうか。

 一度武力に頼るようになれば、軍拡につながる危惧もあり、首相が念仏のように唱える「核兵器のない世界」の理念にも反します。軍拡を止めなければ、その理念が実現することはないと考えるのが現実的に思えます。

 

 

内閣支持率

 毎日新聞による世論調査で、岸田内閣の支持率が前回調査から6ポイント下落し、25%になったそうです。政権発足以降最低となったといいます。

岸田内閣支持率25% 政権発足以降で最低 毎日新聞世論調査 | 毎日新聞

 不支持率は前回より7ポイント増加し69%。防衛費増額の財源について、1兆円強を増税で賄う方針を示したことが支持率低下につながったとみられるといいます。

 首相の派閥「宏池会」は、もともと生活を大事にし、本当に困っている人に手を差し伸べるというイメージがあったといいます。しかし、右寄りの声の方が大きくなっているといいます。「本当に国民がそれを望んでいるかといったら、そうでもないと思う」と前出の三ツ矢元外務副大臣は述べています。

国民が抱えている障害、生きづらさを取り除いていくのが政治の役割だ。正しいと信じることをやり、こういう社会を実現したいというパッション(情熱)を持って国民に訴えていけば、必ず支持してもらえると思う。国民を説得するのも政治家の大きな役割の一つだ。(出所:JIJI.com)

 

 

 世論調査の結果を一喜一憂し、自省することが求められているのでしょう。しかし、それもなそうです。憂慮すべきことなのかもしれません。時にそれが暴走となっていくのでしょう。

論語に学ぶ

吾 日に吾が身を三省す。人の為に謀りて忠ならざるか、朋友と交わりて信ならざるか、習わざるを伝えしか、と。(「学而第一」4)

 毎日いろいろと反省する。他者のためといって相談にのり、まごころを尽くしているのか、友人とのつきあいで誠を尽くし、ことばと行ないとが違っていなかったか、まだ十分に勉強しないで、自分自身が納得いくまで理解習熟していないことを軽々しく後進者に伝えていないか、と意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 首相にもぜひ三省いただきたいものです。自身が不勉強であるにも関わらず、それに気づかずに危ういメッセージを記者会見で発していないでしょうか。武力に頼らないことを絶対条件にすれば、それなりの道も開けるのでしょう。それをぜひ検討してもらいたいものです。 

 独善的にはならないよう、常に他者との関わりにおいて反省してみる。国民、そして、外交、まずは小さい範囲で忠信を尽し、さらにおのれの能力に応じて行動半径を広げてゆくことを求められているといいます。

 

「参考文書」

迫られる発射ボタン押す決断 トマホーク「矛」に集団的自衛権行使―日米同盟と反撃能力:時事ドットコム