東北、北陸、中国、四国、沖縄の電力大手5社が申請した家庭向け規制料金の値上げについて、経済産業省が審査を始めたそうです。
電力5社値上げ、審査開始 利用者負担踏まえ圧縮も―経産省:時事ドットコム
燃料調達費などが適正かどうかを見極め、5社が値上げを予定する来年4月までに上げ幅を確定させる方向だといいます。
一方、来年1月から9月にかけ家庭用の電気料金などの値引きを行うと、東京電力や関西電力など大手電力10社が発表したといいます。
電力10社が2月値下げ、東京電力は2割 負担軽減策受け申請: 日本経済新聞
政府が打ち出した負担軽減策を受けた動きで、政府が電力会社に支給する支援金をもとに料金が下がるそうです。
記事によれば、23年1月の料金は発電用燃料の価格高騰の影響を受け9126円となるそうですが、負担軽減策によって料金は、ロシアによるウクライナ侵攻前の水準の月7300円程度になるといいます。
ありがたいことですが、この対応でよかったのかとの疑問は残ります。足元では税金を使って値下げし、その先ではまた値上げとなるのでしょうか。元々日本の電気料金は高いといわれ、それ以外にも脱炭素関連や原発問題を含めて様々な課題があります。
こうしたことを含めて抜本的に見直すべきときではないのでしょうか。
国民生活を第一に考えて制度を見直すアクションを取れないことが不思議でなりません。労力がかかることなのでしょうが、手を付けなければ、問題が発生するたびに対処することになり、非効率になります。それとも政治がちょっかいを出すから手間ばかりが増えて非効率となり、有効な策が成し得ないのでしょうか。
社会が急激に変化し、これまで以上に課題が露見しているようです。
終わりそうにない物価高騰、それに見合う賃上げが実現するかどうか、予想上回る少子化の加速などなど、優先して対応、解決しなければならない課題が噴出しています。
しかし政府はこうした問題には小手先で対処しようとし、それほどに緊急性が高くもないはずの防衛費の増額に熱をあげます。また、国会は差別発言を繰り返す政務官や選挙資金の管理の甘そうな大臣の問題の追求に時間が割かれ、多くの課題を抱えるこの国をどう導いていくのか、本質的な議論がまったくできていないようです。
現実として、問題に対処はするが肝心かなめの環境が整わない事例もあるようです。
キャリア相談員、IT習得が急務 労働移動の壁に: 日本経済新聞
こうしたことを問題というのではないでしょうか。
政府は構造的な賃上げ施策の一環として、働き手にリスキリング、学び直しを促し、デジタルスキルなどを習得、成長分野などへの労働移動を進めて中期的な賃上げにつなげたい考えといわれます。しかし、成長産業のIT分野に精通していないキャリアコンサルタントが多いのではないかとの指摘があると記事はいいます。それでは助言も指導もできないのかもしれません。問題解決のためのアプローチを間違えているようです。これではかえって問題を大きくするだけで、問題解決が遅れるだけなのでしょう。
世界経済フォーラム(WEF)が「効率的で透明性の高い公共調達」という報告書をまとめたそうです。
日本の行政情報システムの調達の後進性を見かねたのではないかと言われます。
日本のIT公共調達に黒船か、世界経済フォーラムが提言書 | 日経クロステック(xTECH)
この報告書では、日本のIT公共調達の課題が詳しく述べられているそうです。
中央官庁と地方自治体は合わせて毎年約1兆3000億円をITに使うが、その8~9割は定期的なシステム更改を含めた維持管理に投じられ、大半は国産IT大手に流れている。
WEFは外国勢や専門技術を備えたベンチャーを含めたオープンな調達を日本に迫っていると言える。(出所:日経クロステック)
ありがたいことに問題点を分析し、課題を抽出してくれているといいます。こうしたことを巧く対応できないと、またも出遅れるということになるのでしょう。
論語に学ぶ
子 顔淵を謂う。曰わく、惜しいかな。吾 其の進むを見るも、未だ其の止むを見ざりき、と。(「子罕第九」21)
孔子が顔淵ついて回想して、「惜しいことであった。彼の進歩、努力はいつも見ていたが、停止、怠惰は見ることがなかった」といいます。
顔淵は弟子の中でも最も優れた好学の士であったといいます。進歩するためには学ばなければならないということでしょうか。
新しい学説を唱えて、時代を前に進めようとする人たちがいます。そうしたものを学ばなければ、置いていかれることは自明のことです。そうしたものを吸収し、これまでに培った教養でそれらを規制することで、自分らしさにつながっていくのかもしれません。
議員さんたちにどれだけ学びがあるのでしょうか。こうした提言を活用できる知恵はあるのでしょうか。
安倍氏だから成し得た官邸主導の政治を見直したほうが良いのかもしれません。改革が求められているような気がします。