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【辞任ドミノ】甘々な言行不一致の首相自ら招く戦後最大級の難局

 

「日本が戦後最大級の難局に直面している」と、岸田首相はバンコクの記者会見で述べました。さらに「国民の皆さんも直感的にわかっておられるんだと感じている」と語り、「内外の課題、難題に逃げずに正面から取り組むこと以外に岸田内閣が安定した政権運営を果たす道はないと覚悟している」と話していました。

 外遊から戻った首相を交えた国会が再開、第2次補正予算案が審議入りしたそうです。ただ、衆議院本会議は、寺田前総務大臣の辞任を受け、およそ2時間遅れての開会となったといいます。

 冒頭、首相はいつものように「任命責任を重く受け止めている」「政策に遅滞が生じないよう.....」との言葉を発しますが、国会の開会に遅れが生じ、端から真逆となったようです。言行不一致であることを本人は気づいていないのでしょうか。

 

 

 また、寺田稔総務相を事実上更迭したことで、「辞任ドミノ」と揶揄され、批判が高まっています。首相の言葉とは裏腹に、政策を進めるための議論は遅れ、この件に対する質問と陳謝にも追われる始末です。

1カ月で3閣僚「辞任ドミノ」が止まらない 岸田政権「お友達人事」の失敗、更迭判断も遅れ:東京新聞 TOKYO Web

 それに加え、まだ火種を抱えている閣僚がいるようです。

事務所費問題が指摘される秋葉賢也復興相をはじめ、誹謗中傷ツイートへの「いいね」問題を抱える杉田水脈総務政務官、旧統一教会との接点が問題視される政務三役などが残っている。(出所:東京新聞

 このような事態に陥り、もし仮にこの国会が延長でもなるようであれば、ますます首相の発する言葉は信用を失っていかないでしょうか。改めて言行一致の大切さを知ります。

論語に学ぶ

仲弓(ちゅうきゅう)子桑伯子(しそうはくし)を問う。子曰わく、可なり。簡なればなり、と。仲弓曰わく、敬に居(お)りて簡を行ない、以てその民に臨まば、亦(また)可ならずや。簡に居りて簡を行なわば、乃(すなわ)ち大簡(だいかん)なること無からんや、と。子曰わく、雍(よう)の言然り、と。(「雍也第六」2)

  弟子の仲弓が子桑伯子に人柄について質問し、孔子は「可なり。「簡」、つつましく、おおまかなり」と答えます。

 すると仲弓は「敬を拠り所にして己を治める、つまり自律し、「簡」の政治を行なえば、よろしいのではありますまいか。しかし、己に「簡」寛大となって、そのまま政治も「簡」寛大になると、何でもありの無秩序になってしまうのでしょう」と問います。孔子は「その通りだ」と答えたといいます」。

dsupplying.hatenadiary.jp

 上辺でもっともらしいことを言いながら、内実、自ら何も成し得ない岸田首相を言い表すのに、もっと適した言葉ではないでしょうか。己に甘くては、閣僚に対して厳しく接することもできなくなるのでしょう。それ故の混乱、何でもありの無秩序ということなのかもしれません。

 

 

「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」が官邸で開催され、首相が「必要となる防衛力の内容の検討、予算規模の把握、財源の確保を一体的かつ強力に進めていく」と述べたといいます。

岸田首相、防衛力強化へ「財源確保」 有識者会議: 日本経済新聞

提言の原案では防衛費増額の財源に関し「まずは歳出改革により財源を捻出することを優先的に検討すべきだ」と指摘した。「足らざる部分は国民全体で負担する」と促し幅広い税目による国民負担が必要だと訴えた。(出所:日本経済新聞

 この提言を首相はどう受け止めるのでしょうか。身を切る歳出改革は先送りされ、「国民負担」が独り歩きすることになりはしないでしょうか。

 己と身内には寛大で、もっともらしく見える施策も、結局は保身のためで、その施策実行は国民のためと言うのでしょうが、それで国民が苦しむことになっても顧みようともしないのでしょう。

 借金漬けの貧しい国では強大な防衛力など維持できようはずもありません。自分の身を守ることだけを考える人の発想なのでしょう。

 

 

「国を導くビジョンが全く見えず残念」と宮城県の村井知事が岸田首相に苦言を呈したといいます。

残念なことに、この国を30年後、50年後にどう導いていくのかというビジョンは全く見えていません。(出所:TBS NEWS DIG)

「国を導くビジョン全く見えない」岸田政権に“苦言”村井宮城県知事 | TBS NEWS DIG (1ページ)

 さらに村井知事は「国のリーダーですから、この国をどう導いていこうとしているのか、そこをしっかり示しながら、今ある課題に対処していくことが必要なのでは。コロナ対策や物価対策、安全保障など目の前のことに汲々としているのかもしれません。そこは大変残念に思います」と述べたといいます。

 そう見えてしまうことが問題なのでしょう。

「日本が戦後最大級の難局に直面している」、首相自ら招いたことと悟ることはあるのでしょうか。自分に甘々だとその気づきもないのかもしれません。

 

「参考文書」

第2次補正予算案 衆院本会議で審議入り 首相 閣僚辞任を陳謝 | NHK | 物価高騰