「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

ポーランドに落下したミサイル、危機とせずに事態鎮静化に動く人たち

 

 ポーランド東部の村にロシア製とみられるミサイルが着弾、NATO 北大西洋条約機構加盟国で初の犠牲者が出たことで一時、世界に緊張が走りました。

 バイデン大統領が素早く対応、「ロシア発とは考えにくい」としたうえで、正確に事態を把握するとし、調査を進めたうえで次の対応を決定すると発信しました。

 これ以上の無益な争いの拡大を望まない、冷静な対応といっていいのでしょうか。

 ロシア側も「米国の抑制された、よりプロフェッショナルな対応」と称賛したといいます。

ミサイル着弾で米の対応称賛 ロシア大統領府 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News

 偶発的なことで、事態が悪い方向に拡大せず、ひとまず安堵、こうしたことが起きても、冷静な対応ができるということなのでしょう。誰もがこれ以上の事態の悪化を望んでいないともいえるのではないでしょうか。

 その意思の力を使って、停戦を実現させ、和平へと進めていかなければならないのでしょう。いずれにせよ、米国頼みになのかもしれませんが......。

 

 

論語に学ぶ

 論語「季氏第十六」1では、戦争に突き進もうとする弟子たちを孔子が戒めています。

 魯の国の実力が季孫氏が顓臾(せんゆ)という小国を侵攻しようとしたときのことです。

 孔子冉有に「お前は間違っていないか」と問います。冉有は「当主の季孫氏が求めていることで、われわれが望んでいることではない」と言い訳します。すると孔子は「虎や野牛が檻から脱走したり、占い用の亀の甲や玉が箱の中で壊れたとしたならば、それはだれの過ちとなるのか、管理者の責任ではないか」。冉有は「今の顓臾は、城郭が堅固で軍備も整っております上に、費に近接しております。いま叩きませんと、後世、必ず子孫にとって火種になります」といいます。

 孔子は「君子は、そうしたしたいという本音を隠して、あれこれ理屈をつけるということをしないのだ。国や家を運営する者は、政治が公平でないことに悩む。国家の財政が貧しいことを憂えるのではなくて、人々が安心して暮らせないことを憂えると。安心して暮らせれば国家が傾くこともない。

 顓臾が服従しないのなら、こちらは一層、文徳を尽くして感化し、帰服させることだ。帰服すれば、彼らを安心させてやることだ」と教えます。さらに「このまま戦争となれば国は乱れてしまい、運営することができなくなってしまう。季孫氏の心配というものが、顓臾問題に在るのではなくて、季孫氏の組織自体の問題にあるようになることを私は恐れる」といいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 示唆に富む言葉ではないでしょうか。たとえ小国であっても軍備を増強すれば、近隣諸国から目をつけられ、侵攻の口実を与えてしまう。また、いざ戦争にでも突入すれば、国は乱れてしまう。

 古代から何一つ変わらずに同じことを繰り返す、人間の愚かさが語られているのでしょう。結局、これらを制御できるのが、個々人の育む道徳であり、それを規律に育てなければ国は乱れてしまうということでしょうか。

 しかし、こうしたことも時間が経過すればするほどに風化していき、その緩みに乗じて勢いを得た者のが、また何かを口実にして緊張を高めようとするのかもしれません。歴史がそれを物語っているのでしょうし、今の世界なのかもしれません。

 

 

 日中首脳会談がタイバンコクで開かれ、建設的で安定的な両国関係の構築に向け、あらゆるレベルで緊密に意思疎通を図っていくことで習近平国家主席と一致したといいます。

日中首脳、安定的関係へ緊密な意思疎通で一致 林外相の訪中も調整 | ロイター

両国はこれまで経済面でのつながりを強めてきたが、近年は中国の軍事的活動が日本や東アジア地域の安全保障上の強い懸念材料となっている。(出所:ロイター)

 野心を抱いてのことかはわかりませんが、世界のリーダーに踊り出ようと、経済を拡大させ、軍備を増強する国があります。そうした国を警戒して、防衛力を増強しようものなら、相手の悪感情に火をつけるような行為なのかもしれません。古ぼけた防衛力は刷新する必要があるのかもしれませんが、過剰になればただ相手を刺激し、口実を与えるだけではないでしょうか。

 

 

 増税してまで防衛費を増額しようとする首相は一体何をしたいのでしょうか。過去の政権からの悪習を引き継ぐことはないのでしょう。歴史は繰り返してしまうものです。戦前に舞い戻るようなことは絶対に避けなければなりません。

 これ以上不要に緊張感が高まらないように、融和に動かなければならないはずです。そのためには国内の安定が求められます。しかし、こちらも問題が多いようです。

 政治の変え時になっているということなのでしょう。