「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

大統領選に再出馬するトランプ、傍若無人ぶりを発揮するイーロン・マスク氏、支持はあるのか

 

 トランプ前米大統領が「米国を再び偉大にし、輝かしい国にするため、私は今夜、大統領選出馬を発表する」と表明したそうです。ただあまり評判はよくないようで、共和党内でもトランプ氏離れの動きが広がりつつあるといいます。

トランプ氏、2024年米大統領選に正式出馬-党内ムード意に介さず - Bloomberg

トランプ氏は同党のほぼ絶対的なリーダーから、むしろ重荷的存在に転落しており、党重鎮や資金面の支援者の多くは、トランプ氏がフロリダ州のデサンティス知事をはじめとする同党の新星に道を譲ることを望んでいる。(出所:ブルームバーグ

 ブルームバーグによれば、共和党に巨額の寄付を行う米大手投資会社ブラックストーンのスティーブン・シュワルツマンCEOは、トランプ前大統領を支持しない意向を明らかにし、「共和党は新しい世代の指導者に目を向けるべき時だ。そうしたリーダーの1人を私は予備選で支援するつもりだ」と述べたといいます。

 また、投資会社大手シタデルの創業者ケン・グリフィン氏も、トランプ氏を「負け犬」と表現し、再選を目指すべきではないと発言したといいます。

 

 

 トランプの4年間を振り返ってみれば、米国ならぬときだったということなのかもしれません。歴史は常に前進していくのに、それが止まった時期だったと気がついたのでしょう。「共和党は前に進むべき」との声が上がっていることからして、そういえるのではないでしょうか。

 ツイッターを買収したイーロン・マスク氏の傍若無人ぶりも話題になっているようです。

イーロン・マスクの「クビ宣告」を受けたベテラン社員の怒りの声 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

「多くの国でツイッターの動作が非常に遅いことを謝罪したい」と、マスク氏がツイートしたことから騒動が始まったそうです。

 これに対して、あるエンジニアが「その認識は間違いだ」と返すと、「Androidツイッターは非常に遅い」とマスク氏がツイッター上で指摘、「それを直すために何をやった?」と尋ねたといいます。

その日のうちに、他のユーザーがフロンへーファーが公の場でマスクを批判していることを諌めた後、フロンへーファーはこう答えていた。「彼(マスク)は個人的に質問すべきかもしれない。SlackやEメールを使ってね」(出所:Forbes)

 この一連のやり取りの後、マスク氏は「彼はクビだ」とツイートしたといいます。

 オープンで透明性のやり口はマスク氏のいつものことなのでしょうが、少々行き過ぎの気もします。

 

 

マスクが会社に来る前は「人々はもっとオープンで、批判してもいいと感じていたが、今は明らかにそうではない」と彼は話している。(出所:Forbes)

 これまでのツイッターは自由な雰囲気を謳歌していたのでしょう。それがマスク氏の登場でぶち壊されたということでしょうか。

 そのマスク氏は、そのエンジニアを解雇する前に「一晩中ツイッターのSF本社にいる。orgが修正されるまでここで仕事をしながら寝るつもりだ」と投稿していたそうです。

 ツイッターを再建するための最強チームを再編中ということなのでしょうか。マスク氏にすれば、公然とリーダーに背く人材をそのチームには留めることはできないと言いたかったのでしょうか。

 その後、マスク氏はツイッターの従業員に対し、「高強度で長時間」働くために残ることを望むか、3カ月分の給与を解雇手当として受け取り退職するかを17日夜までに決めるよう伝えたといいます。

激務か退職か、マスク氏がツイッター社員に決断迫る 17日までに | ロイター

従業員宛てのメッセージで、17日夜までに「新たなツイッターの一員になりたい」と確認するリンクをクリックしなかった従業員は退職したとみなされるとした。(出所:ロイター)

 マスク氏は暴君なのか、それとも名経営者のどちらなのでしょうか。

 

 

「社会システムの維持や発展について内発的な責任感を持ち、それを実現し得る力をも持つ存在を「貴族」を捉えてみる」と、大胆な意見を山口周氏が述べています。

 その「貴族」とは、過去にあったような既得権益を持つ存在ではなく、「公」(おおやけ)に対して責任感を持った存在といいます。

よりよい社会を築くために、なぜ「貴族」が必要なのか | 日経BOOKプラス

 さらに山口氏は、オルテガ『大衆の反逆』を引用し、その対極的な存在として、「私たちは権利を持っている」と主張する傍若無人な大衆の存在があるといいます。

 大衆を「慢心した坊ちゃん」と呼び、クレーマーによるトラブルを例として、彼らは「自分には客としての権利がある」と主張しますが、それは社会におけるcommons(公共性)を回復したり維持したりしようとする時に、大きな阻害要因になるといいます。

人類のこの先のあり方を考えた時、一人ひとりが矜持(きょうじ)を持って公共性にコミットしていく必要がある。(出所:日経BOOプラス)

 こうした論理に従えば、マスク氏の行動もまんざらではないと言えそうです。

 すでに社会インフラと化したソーシャルメディアの健全性を維持、発展していくためには、従業員もまた矜持をもって、「現代の貴族」として振舞えということなのかもしれません。

 

 

論語に学ぶ

君子重からざれば、則ち威あらず。学びても則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とする無かれ。過ちては則ち改むるに憚ること勿れ。 (「学而第一」8)

 君子、紳士というよりは権力を持った貴族に対する孔子の教訓と言われます。

「上に立つ者は、重々しい態度をしていなければ威厳がたもてない。つまり、人民にあなどられてしまう。上位者には学問をしていないものが多いが、それでは考えが固定して融通がきかない。学問をしなければならない。「忠」とはまごころ、「信」は約束を違えぬこと。「忠信」とはそうしたよい性質をもつ人間を指すといいます。

 まごころがあって嘘をつかない人と親しんで、自分より劣る者を友人とするな。過ちをおかしたならば、例えば友人選びにおいても、素直に改心して改めるべきである。こだわってはならないと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 孔子も、自己の権利主張ばかりで不誠実なものを友にすべきではないと言いたかったのでしょうか。

 

 

 米国ではテック企業においてさかんに解雇が行われるようなり、従業員10万人以上が失職しているといいます。そして、その経営者たちは、厳しい経済見通しを説明し、お決まりのように「成長を急すぎたことの責任を取る」というといいます。

 そして、こうした中、「SNSが死にかけている」という意見があります。

「巨人たちは死んだ」ソーシャルメディアは進化する必要がある | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

「巨人は死んだ」、かつてSNSイノベーションを起こしたFacebookTwitterはもはや年老いた巨人と指摘します。

ソーシャルメディアのノイズが私たちの生活に溢れている。(出所:Forbes)

ソーシャルメディアは進化する必要がある」といい、「もっといいものが出てくることを期待している」と記事筆者はいいます。

 そう感じている人も多いのではないでしょうか。それ故に、イーロン・マスク氏のツイッターに少々期待したいところもあるのです。

 

「参考文書」

共和党支持の資産家、トランプ離れを相次ぎ表明-「新世代」に道を - Bloomberg