「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

マイノリティで王室よりリッチな若き英新首相、混乱のあとに誕生した新政権は何を重視するのか

 

 英国でスナク新首相が誕生しました。20世紀以降最も若く、下院初当選から7年目での首相就任は現代イギリスで最速といいます。初の南アジア系イギリス人の首相で、初のヒンドゥー教徒の首相、マイノリティからの選出された首相のようです。

アングル:歴代で最も裕福スナク英首相、経済と対照的な富豪ぶり | ロイター

 ロイターによれば、英国の有権者がスナク氏を表す単語に選んだのは「リッチ(金持ち)」といいます。ただ、スナク夫妻の資産の大部分は、妻のものといいます。

 

 

 8月に行われた保守党党首選の演説会で、スナク氏は「エリザベス女王よりも金持ちで民衆とどう関わるのか」と質問された際に、裕福だという理由で批判すべきではないと反論し、「この国では、人は銀行口座(の残高)ではなく人柄や行動で判断されるのだと思う。私が今のような身上であるのは幸運なことだが、生まれつきではない」と述べたそうです。

両親は懸命に働き、私にこうした全ての機会を与えてくれた。両親がしてくれたことについて謝罪するつもりはない。実際のところ私がこの職務を目指すのは、他のあらゆる人々にこうしたチャンスをもたらしたいからだ(出所:ロイター)

 BBCによれば、スナク氏の両親は共にインド系で、東アフリカからの移住者。父親は総合医で、母親は薬局経営者だったといいます。

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 その新首相が首相官邸前で演説をし、前任のトラス氏はイギリスを成長させようとしたが、それは間違いではなく「高潔な目標だ」と称えたそうです。ただ「間違いはあった」とし、自分が首相に選ばれたのは「その間違いを正すためでもある」と決意を示したといいます。

スーナク氏、英首相に就任し演説 「行動でこの国をまとめる」 - BBCニュース

思いやりをもって、いま私たちが直面している課題に取り組む」と語り、次の世代に「自分たちで返せない借金」を押し付けることはしないと述べた。(出所:BBC

 ごく自然な感覚ではないでしょうか。高インフレ下にある英国で、財政再建にどんな手腕を発揮していくのでしょうか。また、ロシアに対する対応も気になるところです。

 徳を知っていそうな若き首相はどんな政治を行うのか、政治に新しいスタイルを吹き込むことを期待したいです。

 

 

 日本国内での話、近年、盗撮被害が増えているそうです。しかし、盗撮を取り締まる直接的な法律がなく、多くが事件化されず被害者は泣き寝入りしているのが現状といいます。

急増する盗撮 暮らしに潜む危険と対策 - NHK クローズアップ現代 全記録

 次々と新しい商品とサービスが登場して便利になる一方で、それを悪用する者もいます。盗撮もこうしたことの一例なのかもしれません。

 新たに登場するテクノロジーに法規制が追い付いていないともいえるのでしょう。しかし、悪用を防止する法規制は常に後追いにならざるを得ません。

 盗撮のような犯罪行為が蔓延ること自体が信じられません。もし社会が規範を保ち、個々人が倫理観を身につけているのなら、他者を傷つけるような行為が蔓延することなどあろうはずがありません。それだけ思いやりに欠ける人が多くなってしまったということでしょうか。

論語に学ぶ

我未だ仁を好む者も不仁を悪む者をも見ず。

仁を好む者には、以て之に尚(くわ)うる無し。不仁を悪む者は、其れ仁を為さんとす。不仁なる者をして其の身に加えざらしめず。

能(よ)く一日とて其の力を仁に用うること有らんか。我未だ力足らざる者を見ず。蓋(けだ)し之有らん。我は未だ之を見ざるなり。(「里仁第四」6)

 人間として生きる喜びを持つ者、非人間的であることを批判する者、そうした本物にであったことがない。人間として生きる喜びを持つ者、これは最高であって非の打ちどころがない。一方、非人間性を批判する者は、人間らしくありたいと努めている。それは、非人間性を自分の中に入れないようにさせているわけだ。

そのように、たとい一日でも人間らしくありたいと努めてみよ。それができない者などはいないのだ。いや、あるかもしれないが、私としてはこれまでそういう者に出会ったことはないと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

  法規制を整備する立法府においても、議員たちが法に触れなければ何をやっても問題ないような発言をします。社会の風紀が乱れるのもわかるような気がします。

 未来を予見してすべての法整備を進めることは困難なことなのでしょう。現在生じる問題を見ては、善悪、正邪を見極めて、法規制を進めるしかないのでしょう。そのためには、議員個々人に高い規範意識と倫理観が求められるはずです。それなくして健全な立法などありえないのでしょう。

 

 

 国政が混乱しています。国会論議は日々自民党議員の問題を指摘し、真実に迫ろうとしています。岸田首相の対応は後手後手に回り、批判の的になっています。常識的に考えれば、改革が求められているということなのでしょうけれども、徳の薄い議員が多数するを占める国会において、それを期待するのが無理なことなのでしょう。

 そういう観点からすれば、岸田首相の手順が悪くはないのかもしれません。自浄できないのであれば、野党の力を借りるしかないのではないでしょう。野党側も批判ばかりでなく、自ら徳を高める自助を怠ってはならないはずです。国会の健全化には今しばらく時間がかかりそうです。

 

「参考文書」

【解説】 スーナク氏はどんな人なのか イギリスの次期首相 - BBCニュース

スーナク英首相、新内閣を発足 党の団結を重視 - BBCニュース

スナク氏「深刻な経済的課題」 英新首相、市場は歓迎: 日本経済新聞