「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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首相の所信表明は批判をかわしたいだけか、批判され看板政策を取り下げる英新政権との違い

 

 英国のクワーテング財務相が、所得税最高税率を引き下げる計画を撤回したそうです。先月発表した大規模減税や国債増発などの財政計画が市場を揺るがし、野党のみならず与党内でも批判の声が上がっていました。

 トラス政権は発足からわずか1カ月あまりで屈辱的な政策変更を強いられたといいます。

英首相、市場混乱招いた経済政策発表で対応の拙速さ認める | ロイター

トラス政権が23日に発表した一連の経済政策は、具体的な財源の裏付けを伴っていなかったことで市場の動揺を誘ってポンド/ドルが一時最安値を更新し、英国債が急落するなど混乱を引き起こし、投資家や多くのエコノミストから批判を浴びている。(出所:ロイター)

 トラス英首相は、自身が打ち出した大型減税などの「成長計画」について政策の方向性は正しいと強調しつつ、英国が抱える問題の根深さや劇的な措置が緊急に必要な点を十分に説明していなかったと述べ、もっと「地ならし」をすべきだったと語り、対応に拙速な面もあったと認めたそうです。

 

 

「市場の観点からは正しい方向への良い一歩だ。市場がこのメッセージを受け入れるには時間がかかるが、圧力は緩和されるだろう」と専門家は語り、ひとまず市場は好反応を示し、動揺が収まる気配を見せているといいます。

 しかし、政治的な混乱は避けられないようです。

 ロイターによると、ある保守党議員は「驚くべき展開だ」、「すでにダメージは受けた。今はわれわれも無能に見えるだけだ」と述べたといいます。

 新政権の看板政策であれ、反対の声が根強いのであれば、素直に従う、英政権は「聞く力」を発揮したということなのでしょうか。

 政治的な混乱が生じ、政権が揺らいだとしても、市場混乱と社会への影響を避けようとしたのでしょうか。

所信表明

 日本では、岸田首相が所信表明を行いました。こちらは相変わらずののらりくらりで、現状を容認し、日増しに悪化する情勢に、顕在化する問題に対処しているだけの印象が拭えません。政策はブレブレで、あっちにもこっちにも手を出す総花的な政策になっていないでしょうか。メリハリが見えません。

「分配」「格差」、看板政策の文言が消えた…岸田首相の所信表明演説 安倍氏国葬、旧統一教会も説明わずか:東京新聞 TOKYO Web

首相はこれまで、看板政策「新しい資本主義」の「成長と分配の好循環」で格差の解消に取り組むとしていたが、演説では「分配」や「格差」の文言が消えた。(出所:東京新聞

 世論がわかれた国葬、宗教団体の関わりへの言及は薄く、容認姿勢ということなのでしょうか。批判をかわしたいとの一念が強くにじみ出ているのでしょうか。

 

 

論語に学ぶ

君子は周して比せず。小人は比して周せず。(「為政第二」14)

君子は公平であって偏らない。小人は仲間贔屓があって、利害で取り入ると意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 政策に間違いがあるべきではなく、英政府の対応は政治的には問題なのでしょうが、潔く間違いを認める姿勢は社会には受け入れやすいものなのかもしれません。

 一方、日本政府はそうした潔さはないようです。

 社会の安寧を損なうのであれば、たとえ看板政策であっても取り下げる。一方では、間違いを間違いと認めれば、政権基盤が揺らぎ、政権維持もままなくなるとたじろぐ。そうした態度を続けるのなら、状況の好転は時の運任せということでしょうか。

 北朝鮮のミサイルが5年ぶりに日本上空を通過したようです。

 

北朝鮮が弾道ミサイル、東北上空通過 EEZ外に落下: 日本経済新聞

 

「参考文書」

英財務相、所得税最高税率引き下げ案を撤回 政権に打撃 | ロイター

英財務相、減税政策で「Uターン」 45%の所得税率の撤廃案を撤回 - BBCニュース