「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【混迷する世界の政治】なぜこんなに聞く力がなくなったのだろうか

 

 政治の劣化が気がかりです。混乱する日本の政治はもちろんのことですが、英国でもトラス新政権の経済政策が物議を醸しているようです。

 借金で賄う450億ポンド(約7兆円)の減税を含む措置を発表すると、ポンドが急落し、英国債の利回りが急騰し、英国は経済危機に陥ったのかと思われても不思議ではない状態といいます。

[FT]ポンド最安値の英国、「新興国型」の危機か: 日本経済新聞

 英国が突如、危機下の新興国さながらの状態に陥ったとの見方が、金融市場でも広がっているそうです。

「自国を沈み込ませる新興国に少し似ている」と、元米財務長官のラリー・サマーズ氏は英国を酷評し、また、IMF 国際通貨基金の元チーフエコノミスト、オリビエ・ブランチャード氏は「財政拡大の設計と打ち出し方に関して、してはいけないことの見本例」とコメントしているそうです。

 日本の経済政策が例示されていませんが、その点も考慮されているのでしょうか。いずれにせよ、世界経済に悪影響が及ぶことがないことを祈るだけです。

 

 

 ロシアも迷走し続けています。ウクライナの一部領土を併合しようと「住民投票」を行いましたが、「ロシアの見せかけの住民投票が受け入れられれば、パンドラの箱が開けられる」とトーマスグリーンフィールド米国連大使は非難し、近く国連安保理に非難決議を提出するといいます。

ゼレンスキー氏、ロシアは「全人類敵に」 国連安保理会合: 日本経済新聞

 この決議案は各国に、ウクライナ領土の変更を認めないよう求め、ロシア軍の撤退を義務付けているそうです。

パンドラの箱

 ゼウスが人類最初の女性パンドラに持たせた、あらゆる災禍の詰まった箱。パンドラが地上に着いたとき好奇心からこの箱の蓋を開け、すべての災いが地上に飛び出し、急いで閉じてしまったため「希望」だけが箱の中に残ったといわれます。

パンドラの箱を開ける」とは「災いを招くきっかけを作る」を意味します。

 箱の蓋をロシアが意図的に開け、「希望」が出ぬうちに蓋を閉じたのではないでしょうか。その蓋をこっそり開け、希望を取り出さなければならないのでしょう。

 

 

 ロシアは各国に揺さぶりもかけているようです。ロシア産ガスを欧州に輸送するガスパイプラインの「ノルドストリーム」で、ガス漏れが発生し、その背後には「破壊工作」があると、EU 欧州連合のフォンデアライエン委員が言及したといいます。

ロシア、ガスで欧州への揺さぶり強化-ウクライナ支配地域の編入準備 - Bloomberg

 他方、ロシアでは自国民が国外退避を始め、反発も強まっているといいます。どれだけ迷惑をかけ続ければ気が済むのでしょうか。

論語に学ぶ

驥(き)は其の力を称(ほ)めずして、其の徳を称むるなり。(「憲問第十四」33)

 一日に千里を行く名馬の驥は、速力や体力、その能力を褒められるわけではなく、その徳を褒め、節度ある風格を称賛されると意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 相手を忌み嫌い反発し、力を誇示したところで意味もなく、しっぺ返しを食らうのが関の山になってしまうのでしょう。そうした人物であれば、避ければいいのでしょうが、避けることが出来ない立場にいるときは厄介です。

 

 

 人は他者の声が聞こえなくなったときに躓くといいます。プーチン氏を見ていれば、それが明らかではないでしょうか。

 聞くということは実は難しいことなのかもしれません。自己の感情を抑制し、主観的判断を排除し、相手の真意を探り、理解できなければ、聞いたことにならないのでしょう。それ故、説得もまた難しいということなのかもしれません。

 政治家たちが徳の素養を見つければ、もう少し違う世界に向かうのでしょう。

 

「参考文書」

英トラス新政権の経済対策が世界の“不安材料”でしかない理由。債務は「持続不可能」政策は「無理筋」 | Business Insider Japan