「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

あの元首相とカルト、疑念を解消することはできるのか

 

 岸田内閣の支持率がまた下落したことが、朝日新聞社の全国世論調査で明らかになりました。

 前回8月の調査から6ポイント下落の41%だったといいます。不支持率は前回より大幅増の47%と、半数近くが支持せず、初めて不支持が支持を上回ったそうです。国葬の賛否は、反対意見が増え、賛成38%、反対56%だったといいます。

内閣支持続落41%、過去最低に並ぶ 不支持が逆転 朝日世論調査:朝日新聞デジタル

 政府、自民党の説明は知りたいことが伏せられたようで、疑念が払拭しませんでした。一方で、事実解明しようと報道がさかんになれば、政府にとっては逆風になるばかりなのでしょう。 今は、反社会的勢力やカルトが政治と一体化しているようにも見えます。

 

 

法律と人権侵害

「大事な部分は法律ではないところにある。それは私たちの価値観とか規範です」

と、『人新世の「資本論」』の著者斎藤幸平氏はいいます。また「日本では、法律をつくれば社会が変わるという幻想がある」とも指摘します。

斎藤幸平氏「資本主義のいい話は犠牲の上に成立している」:日経ビジネス電子版

「法令違反しないことと人権配慮はイコールではない。そもそも法律を守ることは当然の義務ですし、さらに、法律に違反していなくても、人権侵害はいくらでも起こる」と、「すべての企業人のためのビジネスと人権入門」の著者羽生田慶介氏はいいます。

 今ある騒動は、こうした盲点を突いているのかもしれません。

家族観と法規制

「家庭教育支援法案」、安倍元首相の肝いりの政策で、自民党が制定を目指していたといいます。

安倍元首相と旧統一教会系が共鳴した「家庭教育支援法案」の危うさ 地方でも推進し10県6市では条例化:東京新聞 TOKYO Web

 東京新聞によると、法案は家庭の教育力の低下を根拠に、家庭教育を支援する施策の推進を目指し、国や学校、地域住民の責務や役割も盛り込んでいるそうです。これに保守系団体やあの宗教団体の関連団体などが後押しをしているそうです。

「支援という名の下に、特定の家族像に合うよう親を『教化』する意図が見える。子どもを権利の主体でなく、客体と捉えている。条例制定は、行政があるべき家族像や子ども像を押しつける危険をはらむ」と警鐘を鳴らす。(出所:東京新聞

 こうした法案があり、この法案の成立を図ろうとの動きがあったという現実からすれば、疑念が生まれるのもやむなしのかもしれません。それなのに、そこを隠そうとするからますます疑念が深まったのでしょう。

 

 

深まる社会問題

 社会の流れに反して、無理強いをするから反発を招き、逆に社会が抱える問題をあからさまにしてきたとも言えるのでしょうか。

「女性の貧困」が放置されてきた背景に見え隠れする、自民党と旧統一教会のズブズブな関係 | ハフポスト NEWS

自民党統一教会にもっとも共通するのは、「家族が大事とか言いながらその家族をブチ壊してきた」ところだろう。長年、貧困問題に関わってきて最も腹立たしいのもこの点だった。なぜ、「家族」をことさらに強調する自民党が、あえて結婚できない人々を増やし、少子化を促進するような政策ばかりを進めるのか。(出所:ハフポスト)

 こうしたことが意見が今またあがることも自然な成り行きなのかもしれません。

論語に学ぶ

予の不仁なるや、子 生まれて三年、然る後に父母の懐(ふところ)を免(まぬか)る。夫れ三年の喪は、天下の通喪(つうそう)なり。予や其の父母に三年の愛有りしか、と。(「陽貨第十七」18)

 これは孔子と弟子の宰我(宰予)との問答の一部です。宰予は、三年の服葬は長すぎるといい、1年で終えるべきではない」といいます。

 すると孔子は、「宰予は人の道を外れている。子は生まれて三年経ってから父母の懐に抱かれる生活から離れる。三年の喪は、天子以下すべての人々に共通する葬礼である。宰予には、父母に三年愛育された期間があったのであろうか」と言ったといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 合理主義的に考える宰予と孔子はもともと肌が合わなかったとの見方もあるといいます。宰予が孔子一門と対立する墨子一派の実用主義の先駆者とみなし、その思想的違和感によってではないかと桑原武夫はいいます。

 

 

理想と現実

墨子」、論語儒家)に対抗する主張が多いと言われています。また、実用主義的であり、秩序の安定や労働・節約を通じて人民の救済と国家経済の強化をめざす方向が強いといいます。

 墨子は「兼愛」を主張し、「兼ねて愛する(区別せずに愛する・すべて愛する)、万人を公平に差別無く愛せよ」と教え、「儒家の愛は家族や長たる者に対してのみの偏愛である」として排撃したといいます(参考:Wikipedia)。

 こうした墨子の理想も当時の社会では受け入れられず、その名は歴史の中に消えていったといいます。

 単なるひとりの理想は社会に根付くことはなく、社会によって受け入れられ、育まれていかなければならないのでしょう。

 

 

温故知新

 様々な問題指摘があり、何が正しいのだろうと悩みます。いずれにせよ独善的な価値観を一方的に押しつけるのではなく、ましてそれを法規制するのではなく、いかに規範、モラルをアップデートできるかということなのかもしれません。

 孔子は「温故知新」といい、伝統を墨守するだけではなく、それを現代の火にかけて新しい味わいを問い直す、永遠の真理の今日的意味を探ると諭したといいます。

 社会に受け入れられるために必要な手続きなのかもしれません。

「価値観の成り立ちや、行動の形は違えど、Z世代もギャルも「みんな違って、みんないい」という仲間を尊重するマインドを持っている点は共通している」と日経ビジネスが指摘しています。これも現在の風潮なのでしょうか。

「ギャル」は褒め言葉 Z世代がその生き方を好む理由:日経ビジネス電子版

明るくポジディブで、寛容だよねという意味だとか。一見不思議な褒め言葉に感じますが、今の時代を生き抜くZ世代にとっては、必要な考えだと感じます。というのも、Z世代は生まれながらに不景気や環境問題など世の中の苦しさを目にしています。その中で、しんどいこともあるけど、なんとかポジティブに受け入れながら「サバイブ」していくために、「ギャル」のマインドを必要としているようにも感じるのです。(出所:日経ビジネス

墨守」という言葉があります。これは「墨子」がよく城を守って、楚の軍をしりぞけたという故事から生まれた言葉といいます。頑固に守り通すこと。または、自説をかたく守って変えないことを意味するそうです。

 今の騒動の根源には墨守ということがあるのかもしれません。

 

 

「参考文書」

宗教団体の反社会的行為、グレーゾーンに線引きを 東京大の島薗進名誉教授 - 産経ニュース

カルト規制法議論も 自民・遠藤総務会長インタビュー:時事ドットコム