「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

学び直し「リスキリング」はデジタルで十分なのだろうか

 

「リスキリング」、学び直しが問われています。もっぱらデジタルがその対象のようです。

リスキリング、あの会社はどうしてる? 事例で学ぶ16選: 日本経済新聞

「デジタル技術によって社会が大きく変わり、企業やビジネスパーソンもこれまでと同じままでは生き残りが難しくなってきました」と記事は指摘し、「企業は、自分は、何をすればいいのか」といいます。

 間違いということはないのでしょうが、それで十分なのでしょうか。

 

 

論語に学ぶ

由よ、女に之を知るを誨(おし)えんか。之を知るは知ると為し、知らざるは知らずと為す、是れ知るなり。(「為政第二」17)

 弟子の子路に、孔子が知ることがどういうことかと教えます。

「知っていることを知っていると確認し、知らないことを知らないとはっきり認める、これがほんとうに知るということ」。

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ソクラテスの「無知の知」、「自らの無知を自覚することが真の認識に至る道である」とおおむね同じ意味なのでしょうか。

知っていることと、知っていないこととの区別を明確にすることが、個人としては、行動を明確にするし、また、学問、技術などの進歩のもとになる。また、人類全体としてみれば、その区別を明確にすることによって、未知の領域の開発が可能になる。 (引用:「論語桑原武夫 P56) 

 

 

「社会に出たら学ばない」という風潮があるのでしょうか。山口周氏の言葉が少々手厳しく聞こえますが、現実はそうなのかもしれません。

 入社して間もない頃、IE(インダストリアルエンジニアリング)の研修に参加し、そのときに口酸っぱく教えられたのが、教科書にあった下図のような概念でした。

 専門領域を深耕するエンジニアに対し、IEを担うエンジニアは、広範な領域を対象にして、その理解を深めることが求められる…。


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 実際、「改善」を行おうとすれば、ひとつの専門領域だけでは実行が難しくなります。「改善」とは「悪い状態を良い状態に変える」ことを意味します。そのためには、最新の技術を使えば、何がどこまで改善ができるのかと常に研究しておかなければなりません。最近でいえば、IoTやAI、ブロックチェーンなどのデジタルがそうなのかもしれません。

 

 

 当時、上司からは「心理学」も学ぶべきといわれました。言われたときには、クエスチョンマークが頭の中を駆け巡りましたが、その後、そういう言われた意味が理解できるものです。それがきっかけで、脳科学をかじったり、哲学をもう少し学びたいとか、それが高じて、道徳論とか宗教とかも興味をもって学んでみようかとの気持ちにも沸いたりしました。

 そうして得た知識は専門家には遠く及びませんが、知ることで誤反応することも少なくなることもあるのではないでしょうか。

 また、学び知ることで、知らないことの多さに気づき、自分の無知が明らかになるものです。それがまた知りたいとの動機にもなったりします。


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 自分が携わっていた仕事(専門領域)が陳腐なものになり役立たたなくなってしまったなのなら、新たな専門域を作ったいかなければなりません。

 専門知識の蓄積ばかりでなく、改善マインドを養っておくのも悪いことではないように思います。