「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

Web3が目指すフェアと公平さ、リアルな社会では実現できないのか

 

 様々な矛盾が現出してはいないでしょうか。気候変動や感染症における医療崩壊の問題はその最たるものなのでしょう。

 それ以外にも感染症パンデミック以降、より顕著に色々な問題が顕在化し続けています。

 インターネットの世界においても同様で、様々な問題指摘もあるようです。少数企業による独占が起こり、そうした企業から権力を奪おうとWeb3.0が立ち上がりました。また「クリエイター・エコノミー」が叫ばれ、よりフェアで公平なインターネットの実現可能を目指しているかのように見えます。ただそのWeb3.0ですら、すべての問題解決とはいかないようです。

Web3」、インターネットの非中央集権型で、プラットフォームやアプリケーションが各ユーザーによって構築され所有されるといいます。Web2では、GoogleAppleなど中央集権的なプラットフォームが支配していますが、Web3.0では、これとは異なり、ブロックチェーン、暗号資産、NFTを利用することで、インターネット・コミュニティに権力を取り戻すものといいます。 

 

論語に学ぶ

天下道有れば、則ち礼楽(れいがく)征伐は、天子自(よ)り出(い)づ。

天下道なければ、則ち礼楽征伐は、諸侯自り出づ。諸侯自(みずか)ら出づれば、蓋(けだ)し十世(じっせい)失わざる希(まれ)なり。大夫(たいふ)自ら出づれば、五世失わざる希なり。陪臣(ばいしん)国命を執(と)れば、三世失わざる希なり。

天下道有れば、 則ち政(まつりごと)大夫に在らず。天下道有れば、則ち庶人議せず。(「季氏第十六」2)

 天下に道があるのであれば「礼楽」規範や秩序は、すべて天子が主導する。天下が道を失ってしまうと、規範や秩序は諸侯が主導することになる。諸侯が主導するとしても、十代保つのは稀である。諸侯に代わって、家臣の大夫が実権を握ったときは、その子孫は五代と保たない。まして陪臣が国政を動かす振る舞いに至っときは、その子孫は三代と保ちはしない。

 天下に道義があるのであれば、諸侯の政権は大夫にはない。まして庶民があれこれとあげつらい非難するようなことはないと意味します。

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 多くの人々が非難の声をあげる現在は、秩序や規範が乱れていること他ならないということなのでしょう。

 元来規範や秩序を示すべき立場にある人が、極端になり、例えば右に偏ったりするから、その中和を目指すかのようにして左に押し戻す作用がはたらくのかもしれません。そうしたことが今、沸き起こり始めているといっていいのでしょうか。

 

 

「富」においても同様なのでしょう。一部の人たちが独占し、分配がままならず、格差が拡大しています。

 こうした状況を改善しようとする人は必ず現れるものです。そんな人の中には、「クリエイティブ」によって問題の解決はできるとの理論を作り出します。

「クリエイティブ資本論」リチャード・フロリダに聞く創造性への投資 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

現代社会では、わずか0.001%の資本家が生産手段をコントロールし、莫大な資本を蓄えている。もちろん、富や起業へのインセンティブは必要だが、問題が多い。我々はより平等で包括的な社会を構築する必要がある。(出所:Forbes)

「クリエイティブ資本論」著者のリチャード・フロリダ氏は、「クリエイティブ・クラス」を定義し、この階層は成長するポテンシャルを有し、資源をもち、力もあるといいまうす。それ故、自己完結的ではなく、社会の一員を自覚して、社会政策による底辺の底上げをし、資本家へのカウンターバランスの役割を担うべきだと指摘しています。

僕は、より大きな視点での真実は、人々は人生の意味や目的を求めているということだと思う。我々が包括的な社会をつくることができれば、人々はこの創造性を発露させ、燃焼させ、内面の充足に充てることができる。そうでなければ、そのエネルギーは怒りとなり、社会へ向かうことになるだろう(出所:Forbes)

 新しい理論が生まれては、偏った社会の歪みを是正していこうとするのでしょう。こうしたことは幾度となく繰り返されて、少しずつ変化するものなのかもしれません。

 

 

 Forbesによると、フロリダ氏は、日本は男性優位などの問題を抱えるものの「日本型資本主義モデルは、労働者を道具としか見ない米国のテイラーやフォードと違って、工場労働者の知的能力や精神的労働を基盤としている」と指摘しています。

 これまでは偏ろうとする力に引きずられ、こうした強みを蔑ろにするようになったのかもしれません。元々培ってきたものもあるのでしょう。元に戻ろうとする力を回復できれば、良い方向に転じるのではないでしょうか。

 

「参考文書」

「分散型」のWeb3が分散ではなく“中央集権”を加速させてしまう理由 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」 | クーリエ・ジャポン

クリエイター・エコノミーの教祖が語る「創造性を所有する新しい経済圏」 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

「楽天、Amazonで買う」はもう古い ECは「人」が主役の時代に:日経クロストレンド