「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

高まる懸念、危機は変化を望まない年老いたカリスマたちによって生まれるのか

 

 色々心配事が増える夏です。隣国中国の動向が今まで以上に気になります。台湾海峡の緊張が緩和されることはあるのでしょうか。中国軍の軍事演習は、7日午後1時まででしたが、演習終了後も、軍事活動を常態化させ、台湾に対する軍事的な圧力を強めるのではないかと懸念が広がっているといいます。

中国軍 7日も台湾周辺で大規模軍事演習 軍事活動の常態化懸念 | NHK | 中国・台湾

 愚かなことと言うことは容易いことなのでしょうが、現実の問題としてどう対応していくのでしょうか。ウクライナのことがあるだけに、たいへん気になります。

 

 

 様々な状況が急速に悪化し、問題が顕在化しています。その解決への道筋が見えないと不安が募ります。

 首相が内閣改造人事の検討を始めているようです。それに合わせてのことか、首相が先日、森元首相、青木元官房長官と会食したといいます。両氏は首相に「焦らずじっくり政権運営をやるように」と助言したそうです。

関係修復? 岸田首相が森喜朗、青木幹雄両氏らと会食 | 毎日新聞

 森元首相は安倍派清和政策研究会の後見役で、青木元官房長官は今なお茂木派平成研究会に影響力を残しているといいます。毎日新聞によれば、この会合には3氏の関係修復の狙いがあり、「安倍元首相の死去で今後が不透明なときに、党の安定のため有意義な会合だった」と出席者は語ったといいます。

論語に学ぶ

命(めい)を為(つく)るに裨谌(ひじん) 之を草創し、世叔(せいしゅく) 之を討論し、行人(こうじん)の子羽(しう) 之を脩飾し、東里(とうり)の子産(しさん) 之を潤色(じゅんしょく)す。(「憲問第十四」8)

 外交文書など命を作るとき、大夫の裨谌が草稿を書き、大夫の世叔が検討し、外交官の子羽が補正し、東里に住む子産が潤色した。それほどに慎重に検討がなされたといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 現在も当時と同じように慎重に検討がなされて様々な施策が実行に移されていくのでしょうか。ただそこには、リーダーの考えと参加するメンバーの意見が色濃く反映されるのでしょう。

 

 

 企業を成長させカリスマ経営者と呼ばれる人たちがいます。セブンイレブンを展開したイトーヨーカドーの鈴木元社長もそのひとりではないでしょうか。しかし、長く社長職を続けることは時に弊害が生むこともあるようです。イトーヨーカドーでは、社内クーデターにより鈴木氏が電撃辞任する事態になりました。JIJI.comは「老害」を指摘します。

「カリスマ」か「老害」か 日本で静かに進む経営者の高齢化【江上剛コラム】:時事ドットコム

 高齢化社長は長期的ビジョンが描けなくなり、設備投資や経営改善が遅れるといいます。

コロナパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻など、想定外の経営リスクが企業に襲い掛かっている。脱炭素、ESG、SDGs、WEB3.0など、新しい経営課題が次々に目の前に現れる。今までの経験では、なかなか対処できない。(出所:JIJI.com)

  また記事は、企業における「相談役」の弊害も指摘します。経営から退いたにもかかわらず、相談役として社内に残ることで院政が続くといいます。時々において相談役に意見を求めざるを得なくなり、その影響力が波及していくことになるそうです。

 

 

老人の価値は経験であるが、それに重きを置き過ぎ、少壮者を服従させようとし、少壮者もそれに従おうとするのが「大変な間違いである」。(出所:JIJI.com)

 JIJI.comは、「住友の中興の祖」と称された人、伊庭貞剛の言葉を紹介しています。

 伊庭は 別子銅山の煙害問題に取り組み、改革を成し遂げると、周囲や当主が引き留めるのを振り切って57歳で住友総理事の座から降りたといいます。

「事業の進歩発達に最も害するものは、青年の過失ではなくて、老人の跋扈(ばっこ)である」といい、「少壮者に貴ぶ所は敢為の気力である」と、少壮者に失敗を恐れず挑戦することを勧めたそうです。

 ロシア、米国、中国、そして日本、問題を起こす国もまた「老害」や「院政」に苛まれているのかもしれません。危機は変化を望まないことから始まっていないでしょうか。古い価値や手法による政治から脱却するときなのでしょう。

 

「参考文書」

台湾有事でシミュレーション 自衛隊に防衛出動も―自民議員ら:時事ドットコム