「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

緊張を高める米中、国連で核軍縮を訴える首相、次の打ち手はあるのか

 

 岸田首相が、米ニューヨークの国連本部で始まった「NPT」の核拡散防止条約の再検討会議に日本の総理として初めて出席し演説したそうです。核保有国に核戦力の透明化を促すなど、日本の行動計画を表明し、NPT体制の維持・強化に向けて各国に建設的な対応を呼びかけたといいます。

岸田首相「核戦力透明化を」NPT再検討会議で演説 行動計画表明 | NHK | 核兵器禁止条約

 NHKによれば、広島で被爆したサーロー節子さんが、日本の総理が初めて演説したことについて「うれしく、誇らしく思う。広島から選ばれているという自覚もあると思うので、核廃絶に向けて運動している市民の声に耳を傾けてほしい」と述べたといいます。

 また、ウクライナへ軍事侵攻するロシアを非難し、「核があるから解決策を見いだせていない。今回の軍事侵攻で核軍縮の必要性が明らかになった」と指摘したそうです。

 

 

 一方で、「きれいな言葉を並べて聞こえはいいが、被爆者が願っていることをどこまで考えているのか実感できない」と、サーロー節子氏は述べ、日本政府が主体的に核軍縮に向けた行動をとるべきだと訴えたといいます。

 耳障りの良い言葉も、その言動が一致しなければ、綺麗ごとで終わってしまいます。理想を実現するには、プラスアルファの努力が求められるのではないでしょうか。欧米との共同歩調にとどまっていては前に進むことはないのでしょう。

論語に学ぶ

人能(よ)く道を弘(ひろ)む。道 人を弘むに非(あら)ず。(「衛霊公第十五」29)

「人間が道徳を広く遠くまでゆき渡らせ、実質化してゆくのであって、道徳が心広く大きな人間を作るわけではないと意味します。

dsupplying.hatenadiary.jp

 理想論であったとしてもそれに賛同を得ることはあっても、それによって、その理想が実現することはないということなのかもしれません。

 核軍縮も核保有国が現実に核を廃棄して始めて、その道が開かれていくのでしょう。

 

 

 そんな中、米国のペロシ下院議長が2日に台湾を訪問するとの情報が報道されています。中国が強く反発し、中国軍が何らかの行動に出る可能性もあるそうです。

ペロシ米下院議長、台湾を訪問の見通し-米中関係の緊張高まる - Bloomberg

 こうした緊張が高まっていけば、また核軍縮は遠退くように感じます。

 日米同盟が基軸といい、一方で核軍縮という理想論を掲げます。さて首相は今後どんな行動をとるのでしょうか。

晏平仲(あんへいちゅう)善く人と交わる。久しくしてもこれを敬す。(「公冶長第五」17)

「あけっぴろげで、こだわりなく誰とでもつきあう。相手は、晏先生は気軽なお方だ、などと軽く考えて交際を続けるうちに、彼には叡智と毅然としたところがあることをしだいに発見して、立派なお方だ、ああいう方につき合っていただいているのはありがたいことだ、と思うようになってしまう。いかにも天成の政治家だ」と、孔子がいったといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

「晏平仲」、斉の宰相で、賢人政治家といわれます。質素を旨とし、常に国家を第一、上を恐れず諫言を行い、人民に絶大な人気があり、君主もまた彼を憚ったそうです。 

 岸田首相にもこのような資質はあるのでしょうか。もしそうなら緊張感が高まることもないのでしょう。

 かつて冷戦は、ゴルバチョフソ連大統領、サッチャー英首相、レーガン米大統領によって終結と導かれていきました。核軍縮もいかに当事国を巻き込めるかにかかっているのではないでしょうか。そういう行動を首相は取れるのでしょうか。今米中が緊張を高めているとき、それが求められているのかもしれません。