「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

サハリン2の影響はどこまで広がるか、このまま揺さぶられ続けるのか

 

「サハリン2」、極東のサハリンで進められている石油・天然ガス開発プロジェクトで、日本の商社も参加しています。この事業についてロシアのプーチン大統領が、ロシア企業に事業主体を変更する大統領令に署名したといいます。

サハリン2の事業主体をロシア企業へ-プーチン氏が大統領令署名 - Bloomberg

 早速、政府も反応したようです。「すぐにLNGが止まるものではないと考えている」と岸田首相は述べ、事業に参画している企業と「意思疎通を図って対応を考える」と話したといいます。

 

 

 どのような対応となるのでしょうか。まさか自己都合ばかりで、ロシアがこのようなことに出てくるとは想定できず、準備を怠っていたといことはないと願いたいです。

 既にLNGの世界における需給は厳しさを増し、スポットで調達しようにも価格が足枷になることはないのでしょうか。さらなる電気代などエネルギー価格の高騰が気になります。

論語に学ぶ

知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼(おそ)れず。(「子罕第九」29)

 知者は学問をしてその目が明らかに冴えているから惑うことがない。仁者は人間を愛し、究極において善意の勝利を信じているから憂えることがない。勇者はおのれ一個のためではなく、天下のためによき決意をしたのだから、いかなることがあっても恐れないと意味します。

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 これまでの首相の選択が正しいものであれば、怯むことなくもないのでしょう。仮にそうでないと、国民生活に影響を与えかねません。今になって動くということでは、他のことを優先していたということに他ならないということなのでしょう。

 

 

自ら狭めた選択肢のしわ寄せ

LNG以外に選択肢は多くな」とブルームバーグはいい、原発再稼働の可能性を指摘します。自ら狭めた選択肢のしわ寄せが国民に及ぶとなれば、言語道断です。

石炭市場はタイトで、アジアのスポット価格は記録的な高値で取引されている。さらに、日本は他のG7諸国と足並みをそろえロシア産石炭の輸入禁止に動いている。こうした状況から、原発の再稼働を加速させるよう日本政府に圧力がかかるかもしれない....(出所:ブルームバーグ

 一方で、地元自治体からの支持が得られなければ実現は難しい。参院選を前にしてはこうした判断も先送りされてしまうのでしょうか。

 基本、原発再稼働には反対したいでのですが、緊急事態であれば、その議論は避けられないのではないでしょうか。理不尽によってみなが多大な労苦を味わうことは絶対に避けなければなりません。

「君に事(つか)うるに礼を尽くせば、人以て諂(へつら)いと為す」(「八佾第三」18)

 孔子が君につかえたときの経験から、なかなか思うようにはいかないものだと、弱気をふと親しい弟子洩らしたのではないかと桑原武夫はいいます。

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 春秋戦国の時代で下剋上の世であった当時、魯の国では季氏ら三家が君主を抑えて横暴をはたらいていたといいます。すでに礼法は乱れ、崩壊過程に入っていたそうです。孔子はそうしたときにあっても、上下の秩序を尊び古来の礼法を完全履行することによって君臣の正しい関係を守ろうとしたといいます。ところが三家の党派に属する連中からは、おべっかと罵られたといいます。

 

 

 自ら率先して誹謗を受けるような行動をとるべきではないのでしょうし、苦しい状況でもそれを利用して己にとって有利なものにしようと意識を働かせることはあって当たり前なのかもしれません。欧米主導の制裁に参加することは否定するまでのことではないにしても、欧米とはおかれている状況が異なり、日本には欧米にはできない選択肢があったのではないでしょうか。

 二項対立と傍観者という構図を作らず、真に平和を希求するものであるべきだったのかもしれません。そうした役回りが求められていたのではないでしょうか。暴君であろうが、それに対しても孔子のように「礼」を尽くす姿勢が必要であったように感じます。平和のために汗かく者がいなければ、停戦の実現はありません。

 もしかしたら、この先もロシアの嫌がらせは続くのかもしれません。常に起こったことに対処していくしか手はないのでしょうか。