「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

不正まみれ、勤め先に期待できない、先行き不透明な国、マイナポイント第2弾はじまる

 

 詐欺、不正会計、検査不正、個人ばかりでなく企業、そして官公庁での不祥事が後を絶ちません。「コロナ禍が悪意を持つ者の暴走に拍車を掛け、内部統制強化などの取り組みをあざ笑うかのように組織を揺さぶる。将来を嘱望された若者たちも悪の道に墜ちた」と日経ビジネスはいいます。

[新連載]イカサマを絶つ はびこる不正、若手官僚も墜ちた悪の道:日経ビジネス電子版

悲しい現実です。日本の未来を担うはずの若者までが道を外れ、罪を犯してしまう。社会全体が悪を根絶しようとする意識が希薄化していないかと危惧します。

 

 

論語に学ぶ

人の過つや、各々其の党に於いてす。過つを観れば、斯ち仁を知る。(「里仁第四」7)

  朱子によると、君子の「党」は人情に厚いためにミスを犯し、小人の「党」は人情に薄いためにミスを犯す。そこでそれぞれの人間の過ちを観察してみれば、その当事者における「仁」のあり方、つまりその人間の道徳性の高低がわかるといいます。

 一方、萩生徂徠は、人民が過失を犯すとすれば、それはそれぞれ自分の住んでいる地域社会の感化によるものであるから、人民の過ちのあり方をみれば、そこの支配者である君主の仁つまり道徳の高低、その影響いかんがわかるといいます。

 よって、君主たる者はいたずらに人民の過失を咎めだてするよりも、まず自己反省すべきとするとの意味があるといいます。

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 このような短い章についてすら幾多の解がありうるということは、定言的な戒律としては弱みがあると、桑原武夫はいいます。

 拠り所にすべき先人の教えさえ、個人によってその解釈に差があるということが、社会を難しいものにしてしまうということなのかもしれません。

 

 

 ただいずれにせよ、人は置かれた環境の感化を受けることは間違いなさそうです。家庭や学校、そして自分が働く環境の影響を受けたりするのでしょう。

 経済産業省の元キャリア職員が、「持続化給付金」や「家賃支援給付金」計約1550万円をだまし取った事件がありました。日経ビジネスによれば、主犯格であった被告は裁判で「拝金主義的な人間に成り下がっていた」と述べ、他者を巻き込んだことについて謝罪したといいます。

制度を知り尽くす所管官庁の官僚が、その制度や自らの知識を逆手にとって罪を犯すことは国民の行政に対する信頼を大きく傷つける行為だ。事態を重く見た経産省は桜井被告らを懲戒免職としただけでなく、監督責任を取って事務次官や直属の上司らも訓告や戒告の処分とした。(出所:日経ビジネス

 範を示し、公を担うべき官僚たちが「拝金主義」にまみれてしまう、何に影響されて、いつからそうなったのしまったのでしょうか。職場なのか、それとも経済産業省全体なのか、それだけでなく政治の影響もあったりするのでしょうか。

日本人の「勤め先に期待しない割合」は世界最悪…経産省が「これはヤバい」と顔面蒼白になった衝撃データ 渾身の提言「未来人材ビジョン」が訴えること | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 その経済産業省の幹部が、プレジデントオンラインのインタビューで、「いま人材投資のありかたを変えなければ日本の未来はない」、そういう危機感から、省内に人材政策を検討する「未来人材会議」を設置し、未来を担う人材の育成のありかたを提示しようと調査や議論を重ねてきたと述べています。そして、その結果を「未来人材ビジョン」にまとめたといいます。

 

 

経営トップが、いまの組織の中で、自分で自分を変えていく──。

この難しさは重々承知しています。しかし、未来人材ビジョンではあえて「そこにチャレンジしましょう」と提言しました。私たちはそれほどまでに、日本の未来に危機感を抱いています。(出所:プレジデントオンライン)

 正論なのでしょう、そして、こうしたことも官庁が発信しなければならないのでしょう。ただ、その発信元がその内容から大きく乖離したことしかできていないのなら、誰がその内容に真摯に向き合うのでしょうか。まずはその言葉を経済産業省自らが先頭に立って牽引していくべきではないのでしょうか。

 省内官僚の不正は、単に職場の写し鏡と言われるだけです。

 マイナンバーカード取得者に最大2万円分のポイントを付与する、マイナポイント第2弾が6月30日に始まったといいます。予算1兆8000億円を費やし、2022年度末までにほぼすべての国民にマイナンバーカードを行き渡らせることを目指しているといいます。

 行政サービスを行き届かせるために、国がポイントを付与するのはどうなのでしょうか。所轄官庁は異なりますが、安易な方法に走り過ぎているように思えてなりません。

 マイナンバーカードが普及すると、何がいいことだったのか、忘れてしまいそうです。

 

「参考文書」

マイナポイント第2弾スタート 対応するキャッシュレス事業者、止める事業者 - ITmedia ビジネスオンライン