「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

活性化には元気なスタートアップが良薬、創業環境は改善しているか

 

「スタートアップこそ社会の課題を成長のエンジンに転換し、新しい資本主義の考えを体現するもの」と、首相が「日本スタートアップ大賞」に出席し、そう述べたといいます。また、創業時に財産を担保に取る個人保証を求めない新しい制度を作ると明らかにしましたそうです。

 これまでは、創業者が銀行から創業資金を借りる際、個人保証を求められ、個人の財産を失うリスクから、起業意欲を低下させる一因となっていたといいます。

創業融資の個人保証廃止に 岸田総理「スタートアップこそ新しい資本主義体現するもの」 | TBS NEWS DIG

 産業の新陳代謝が起こらなければ、成長はないのかもしれません。新たな躍動があれば、活気づいていくのでしょう。ただ創業しても、資金が続かなければ、事業は継続できず成長もおぼつきません。

 

 

「資金調達が難しくなる冬の時代」という見方があるそうです。昨今の経済情勢を反映して、ベンチャー投資が鈍るのではないかとの予想があるといいます。

ベンチャー投資「冬の時代」か 先人に学ぶ生き残り術: 日本経済新聞

 これまでは、ヘッジファンドプライベートエクイティファンドベンチャー投資に乗り出し、潤沢に資金供給されていたといいます。しかし、最近になってテクノロジー企業の株価はさえず、景気変動の影響を受けにくいとされる「SaaS ソフトウエア・アズ・ア・サービス」企業の株価さえ低迷しているといいます。こうしたことで、資金を引き揚げる動きが出ているといいます。

 日本経済新聞によれば、米ベンチャーキャピタル大手のセコイアキャピタルなどは、スタートアップ企業に景気後退が今後も続いていく見通しを説明して、正念場を迎えた今こそキャッシュの流出を抑えるように警告したといいます。コストカットの余地の少ないスタートアップにとっては、人件費抑制が当面の課題ということなるのでしょうか。

論語に学ぶ

君子は道を謀(はか)りて、食を謀らず。耕せど、餒(たい) 其の中に在るあり。学べば、禄 其の中に在るあり。君子は道を憂え、貧を憂えず。(「衛霊公第十五」32)

「君子は道を追求するのであって、食べてゆくことを追求するのではない。耕作していても、凶作になれば食べてゆくことができないこともある。一方で、学問をしていても食べてゆくことができることもある。君子は、道を憂えるが、食べてゆくことの不安定を憂えたりしない」と孔子は言ったそうです。

dsupplying.hatenadiary.jp

 2020年6月設立の東大発スタートアップ「Yanekara」が、三井不動産が主催した『未来特区カンファレンス』の「生存特区」プロジェクトで優勝したといいます。この「未来特区プロジェクト」は、三井不動産創立80周年記念事業として「都市機能の本質とその未来」を主題に共創パートナーを募集したものだそうです。

株式会社Yanekaraが三井不動産創立80周年記念事業「未来特区プロジェクト」の「生存特区」プロジェクトにて優勝|株式会社Yanekaraのプレスリリース

 スタートアップがこうした事業化の機会を得て、飛躍することになればいいのでしょう。ただそれまでに資金枯渇に陥ることがないようにしなければなりません。

 

 

「Yanekara」は、一基で複数台のEV 電気自動車を太陽光で充電することのできる充放電機器と、EVを含む多様な分散エネルギーリソースを群制御することのできるクラウドシステムを開発しているスタートアップといいます。

これまでに数々の育成支援を受け、また、企業から機材の提供を受けて技術開発を行ったといいます。

宇宙に行くより地球に住み続けたい。「Yanekara」が仕掛けるエネルギー革命とは | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

地球には限りある資源があって、それが自然の摂理でサイクルしています。本来、人間の活動は、その資源の循環する幅のなかで収まるべきです。ところが、現在人間が消費している自然資源の量は、地球の約1.7~1.8個分とも言われます。将来世代の資源を先に借りて、食いつぶしているとも表現できます。(出所:Forbes)

 そのために、1基で最大4台のEVを充放電できる充放電器をつくり、「拡張性」を武器にしたそうです。これによって設置台数を削減でき、従来の充放電器より導入コストを低減できるといいます。

 

 

「Yanekara」のミッションは「地球に住み続ける」を実現することといいます。しかし、その実現には非常に長い時間がかかるともいいます。

 高い志も現実的な計画があって実現に向かっていくのでしょう。

 スタートアップにとって、厳しい環境が待ち受けているのかもしれませんが、善き先例となって欲しいものです。

 

「参考文書」

熱狂は過ぎ去り、スタートアップにとって厳しい時代が到来する | WIRED.jp

米テクノロジー業界、人員削減が5月に急増 1─4月の約9倍=調査 | ロイター

拡張性の高い商用車向けEV充放電システムを開発する東大発エネルギーテックスタートアップ株式会社Yanekaraがシードラウンドで5500万円の資金調達を実施|株式会社Yanekaraのプレスリリース