「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

景気後退の瀬戸際か、下落基調の株価、苦しさ増す日本企業、円安改善を求める声

 

 ウクライナ情勢を伝える報道回数が減り、膠着状態なのでしょうか。状況が好転するには今しばらくこのままの状態が続きそうです。

 一方、経済への影響は深刻さを増しているようです。リセッション(景気後退)懸念がくすぶり、日本でも米国でも株価がまた大きく下落しました。

「まるで地震波のように」 戦争、ロックダウン…世界経済はどこへ:朝日新聞デジタル

IMFのグランシャ調査局長は「今般の戦争は、まるで震源地から地震波が広がるように広範囲かつ遠くまで経済的な影響を及ぼしている」と警鐘を鳴らす。ウクライナ危機の影響が長期化すれば、各国の成長率はさらに下ぶれする可能性もあるという。(出所:朝日新聞

 危機は早く去って欲しいものです。それにしても、経済は米国の動向次第になるのでしょうか。

 

 

論語に学ぶ

歳 寒くして、然(しか)る後に松佰(しょうはく)の後れて彫(凋)(しぼ)むを知る。(「子罕第九」28)

 寒さの厳しい年があるとき、そのときになって、松、伯が他の木々よりも遅れて萎むことを知ると意味します。

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 常緑樹の「松佰」は冬でも葉を落とすことはありませんが、常緑樹以外の樹木は早く葉を落とします。節操のない人は志を直ぐに変えてしまうことに譬えているといいます。「松佰」はその逆を言っているのだといいます。

 避け得ない環境変化に人の心もまた変化するということなのでしょう。強い意志を持っていれば、こうしたときに動ぜずにいられるのかもしれません。

 

 

 東京市場も今日は値を下げて始まったようです。昨日の下落を受け、市場関係者は、「マクロ的にみれば、金利も物価も高止まる中で、企業業績がどこまで踏ん張れるかを見極めている段階だ。ただ、円安や緩和的な金融政策が流動性の支えとなり、日本株の下げ幅は米国株よりは大きくない」といっているようです。とりあえずは、日銀政策が功を奏して、日本企業の株価は支えられているということでしょうか。

日本株は大幅反落、米景気後退や企業業績を警戒-輸出関連など安い - Bloomberg

 一方、ロイターの5月の企業調査では、円安が進む中、日銀による大規模な金融緩和政策を修正するべきとの回答が6割に達したといいます。今すぐ出口に向かうべきとする企業も24%になったそうです。

5月ロイター企業調査:円安進行で「大規模緩和修正が必要」6割 | ロイター

 昨年7月の調査では、超低金利の長期化はプラスに作用するとの声が72%あったが、円安進行により、企業の金融緩和策への見方が変化したことを表していると言えると、ロイターは指摘しています。

 円安は企業業績を向上させるメリットがあると同時に、本業の儲けを棄損させるというデメリットも含んでいます。本業の儲けに影響するような円安はさすがに看過できないのでしょう。

 

 

敝(やぶ)れたる縕袍(おんぽう)を衣(き)、狐貉(こかく)を衣(き)る者と立ちて、恥じざる者は、其れ由か。忮(そこな)わず求めず、何を用(もっ)てか臧(よ)からざらんとあり、と。子路、終 身 之を誦(しょう)す。子曰わく、是の道や、何ぞ以て臧しとするに足らん、と。(「子罕第九」27)

「縕」とは古注によれば、枲(し)からむしの著(綿入れ)のことで、「袍」とは上衣。粗末な着物だが、それが破れているのだ。「衣」はきる。「狐貉」とは孤やむじなの毛皮でできた貴族たちの着る上等の外套。

 ぼろぼろになった綿入れの着物を着て、上等の毛皮の外套を着た人と並んで立って、ひけ目を感じないでいられるのは、由(子路)くらいだろう。

 それは「妬(ねた)まず、ほしがらず、どうして善い人間でないことがあろう」という「詩経」の句にそっくりだ、と孔子子路をほめたのである。

「忮」は害する、つまりねたみ憎んで相手を害しようとすること。「求」は自分にないことを恥じて奪おうとすること。

 子路は喜んで一生この詩句を口ずさんでいた。それを聞いた孔子は、その詩の言葉どおりにしているだけでは、それが善が成立したというわけにはいかないのだ、軽くたしなめたとの意味です。

 この詩は「詩経」の「邶風(はいふう)」の「雄雉(ゆうち)」の中にあるそうです。

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 日本企業も、この厳しさを目の当たりにして、危機を募らさせたのでしょうか。「善」とは何かということも、今一度、意識し直すことが求められていそうです。覚悟をもって対応していかなければならないのでしょう。