「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

都市封鎖で混乱の上海、イースターで平和を祈ったローマ教皇

 

 アジアで有数の経済都市が中国当局のゼロコロナ政策による都市封鎖ロックダウンで混乱に陥っているといいます。

 外出は禁じられ、食料不足などを市民が訴えているそうです。

 都市封鎖の目的はコロナ感染の拡大を防ぎ、人々の安全を守るためのはずの都市封鎖が、逆に人々を苦しめ、心身の健康を害するようになっているのではと、朝日新聞は指摘します。

(社説)上海の混乱 人道を重視した対応を:朝日新聞デジタル

批判の声に耳を傾け、市民の理解と対策の有効性の兼ね合いを再考すべき時だ。間違っても政権の都合が優先されるようなことがあってはならない。大切なのは人々の科学的な安全とともに納得を得る安心である。(出所:朝日新聞

 当局がプライドに執着するばかりに、人権を軽んじてしまうということなのでしょうか。

 

 

論語に学ぶ

其の以(もち)うる所を視、その由(よ)る所を観、其の安んずる所を察すれば、人焉(いずく)んぞ廋(かく)さんや、人焉んぞ廋さんや。(「為政第二」10)

  ある人を知るには、その行動いかんに注目し、次に、その人物が経てきた過去を観め、原因や動機を観察し、さらに、その行動によってその人の心のあり方がどのように落ち着くかを洞察する。そうすれば、当の人物は自分で蔽い隠そうと思ったところで、隠しおおせることなどできるものではないと意味します。

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 ある人が他人を殴ったとして、それを例にして、この章の意味を桑原武夫が解説しています。

 暴力行為は悪いに決まっている、しかし、それがどういう動機で、どういう条件でなされたかを知らねばならない。以前に恥をかかされたとか、それを知らねばならないが、それよりも暴力をふるったあとで、当の人物がどういう気持ちを味わっているかを洞察することが大切といいます。

不徳義漢に制裁を加えたことに快感を覚えているのか、自分のはしたない行動を恥じて自己嫌悪に陥っているのか、それによってその人物への認識が深まるであろう。(引用:「論語桑原武夫P48)

江戸期の儒学者萩生徂徠はこの章は政治支配者の賢否を知るのに有効としますが、桑原は、無力な庶民について言った言葉ではないと指摘したうえで、権限をもち、自由を享受している特権階級についての識別法であろうといいます。

 

 

平和を祈るローマ教皇

 ローマ教皇が、バチカンのサンピエトロ広場で、イースター復活祭のメッセージを伝え、ウクライナに平和が訪れるよう祈ったそうです。

教皇、ウクライナの平和祈る 戦時下の復活祭で | 共同通信

「この戦時下の復活祭において、私たちは多くの流血と暴力を見てきた」と嘆いたそうです。

仁 遠からんや。我 仁を欲すれば、斯(すなわ)ち仁に至る。(「述而第七」29)

「仁は最高の徳だが、だからといって決して高遠無比、手の届かないところにあるものではないという。自分が本気でそれを欲求しさえすれば、仁はたちまちここに現前する」と意味します。

 それを欲求する熱意が強ければ、例え「仁」であろうと、たちまちに現前するといいます。

「仁」、人間愛、自他のへだてをおかず、一切のものに対して、親しみ、慈しみ、情け深くある、思いやりの心と意味します。

 力を無意味に行使するなかりでなく、祈る力も信じる必要があるのでしょう。そうすることで、平和で、平穏な社会になっていくのかもしれません。

 

「参考文書」