「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

バランスを失なうからリスクが生まれ危機となる、中国、ロシア、円安

 

 様々な出来事が次々と起こり、精神的に疲れます。地球の温暖化が思った以上に進み、気候変動が激化し、世界各地で発生する異常気象が激甚化するようになりました。突如現れた感染症が世界的な大流行パンデミックとなり、そして、それによって生じたコロナ渦がこんなに長引くとは想像できませんでした。まさかロシアが虚を衝くとは思わず、外交ではなかなか進展をみせず、危機が長期化しそうです。

 様々なリスクが顕在化しています。不確実な時代になったということなのでしょうか。それはまた変革期の到来ということもであるのでしょう。

 各国リーダーがその対応に苦慮していることが伝わってきます。もっと早く予兆を捕えて、対応すべきだったということなのでしょう。

 

 

論語に学ぶ

子貢(しこう)問いて曰わく、師と商とは孰(いず)れか賢(まさ)れる、と。子曰わく、師や過ぎたり。商や及ばず、と。曰わく、然(しか)らば則ち師は愈(まさ)れるか、と。子曰わく、過ぎたるは猶及ばざるがごとし、と。(「先進第十一」16)

 弟子の子貢が「師(子張)と商(子夏)と、どちらがすぐれていますか」と、孔子に尋ねたところ、「師は多く、商は少ない」と答えたといいます。子貢が「では師のほうがすぐれているのですか」と尋ねると、孔子は「多いも少ないも同じことだ」と教えたそうです。

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「子張」、孔子晩年の弟子で、もっと若く秀才といわれています。子夏と議論したとき、子夏の激しい調子を批判し、孔子のゆったりと相手の意見を聞く態度を学んでいないといい、さらに、小人の議論は、自分の意見だけが正しいと言い張り、目を怒らせ、腕をむき出しにし、早口で口から涎(よだれ)がたれ、目が赤くなり、勝を得ると喜びまわる等々と言ったそうです。

 「子夏」、子張と同じく孔子晩年の弟子で、孔子より44歳若い。孔子学団の年少グループ中の有力者。文学にすぐれた、最高の文献学者だったといいます。

 孔子が外出しようとしたとき、雨が降ったが、傘がなかった。弟子が「子夏がもっていますよ」というと、孔子は「あれはケチだからなあ」と答えたといいます。続けて「人の長所を言い、短所を忘れることによって、長くつきあいができるのだ」と言ったと、「孔子家語」にあるそうです。 

 

 

過ぎたるは猶及ばざるがごとし

「過」も「不及」も同格であって、中庸を失っている点では、どちらもともに良くないという意味です。   

 昨今のリスクへの対応は、この「中庸」、ちょうどよい頃合いを忘れているのかもしれません。

 中国習政権は「ゼロコロナ政策」を打ち出し、市民の反感を買い、またサプライチェーンにも影響を及ぼしています。この影響で、日本の自動車メーカーには部品が届かず、生産休止に追い込まれています。

 日銀の黒田総裁はこの期に及んでも、金融緩和を続けるばかりに、「悪い円安」を引き起こしているのではないかと疑念を抱かれています。これに対し、岸田首相は、日銀の金融緩和政策が円安を誘導し物価高騰を招いているとの批判に対し、「為替誘導のために行われているものではない」と参院本会議で答弁したといいます。ちょうどよい頃合いを失えば、当然批判は起きるということなのでしょう。

 ドイツでは、ショルツ首相がウクライナ支援が不十分だと批判され、難局に立たされているといいます。

独首相、難局に直面 対ウクライナ兵器供与問題:時事ドットコム

緑の党の安保政策広報責任者のナンニ下院議員は時事通信の取材に「ショルツ首相でなくSPD内の別の人々が、大型兵器は事態をエスカレートさせると思っている」と指摘。SPD内の慎重派が供与の足かせになっているとの見方を示した。(出所:JIJI.COM)

 ついつい過ぎたり、時に及ばなかったり、「中庸」、ちょうどよい頃合いを見つけることは難しいということなのかもしれません。問題とは、過ぎたり、足りないなことで、中庸でないときともいえるのでしょう。何事もバランスが求められていそうです。