「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

制裁はいつまで続けなければならないのか、求められる停戦のための外交努力

 

 ロシアへの追加制裁を首相が発表した。記者会見で「非道な侵略を終わらせ、平和秩序を守るための正念場だ。国民の理解と協力をよろしくお願いする」と述べた。追加制裁はロシア産石炭輸入の禁止など5項目からなり、また8名の外交官を追放するという。

首相、戦争犯罪で制裁強化 国民に〝痛み〟も - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト

ロシアの侵攻が長期化の様相を呈する中、G7欧州連合(EU)でも制裁の実効性を高めるため、原油天然ガスの禁輸に踏み切るべきだとの声は根強い。政府関係者は「資源国と資源のない国の政策の幅のズレが強くなってきている」と指摘する。(出所:SankeiBiz

 ロシア産石炭の輸入量は全体から見れば一部で、代替調達しやすいとの見方もあるという。ただ西側諸国が同様の措置に動けば、市場価格は上昇し、国内の電気料金などに跳ね返ること可能性は否定できない。

 

 

 戦争は容認できない。ロシアの残虐行為を許すことはできない。しかし、制裁を強化しても、相手は反発するばかりで、どちらが先に音を上げるかの我慢比べの様相になっていないか。目的を達成するためには忍耐は不可避なものだが、そこに多大の犠牲を強いられれば、いつまでも国民の理解を得続けるのは難しくならないだろうか。

 各国で事情は異なる。G7に追従することも必要なことなのだろうが、このままでよいのだろうか。プラスアルファの外交努力が求められていないだろうか。制裁で共倒れになるようであれば、何の意味もなく、逆に悪い方向にエスカレーションしていかないだろうか。

論語に学ぶ

 子貢告朔(こくさく)の餼羊(きよう)を去らんと欲す。子曰わく、賜や、爾(なんじ)は其の羊を愛しむ。我はその礼を愛しむ、と。(「八佾第三」17)

「子貢が告朔の礼に用いる羊の犠牲を廃止しようとした。それについて孔子は「賜君よ、お前は羊がむだとするが、私の場合は礼式が崩れるのを残念に思う」と言ったという。

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 外交規範を守るということにおいても、犠牲は伴うということなのだろうか。孔子が言わんとすることも理解できるが、その礼が形骸してしまえば、犠牲は無意味なものとなってしまう。

 

 

正義の女神

 正義の女神はその手に天秤と剣を持つ。彼女は目隠しし、法は貧富や権力の有無に関わらず、万人に等しく適用されるという「法の下の平等」の法理念を表しているという。

 彼女が手に持つ天秤は「正邪」を測り、剣は「力」を象徴するという。「剣なき秤は無力、秤なき剣は暴力」という。正義の女神は、司法、裁判の公正さを表す象徴とし、古来裁判所などに設置されてきた。

 天秤は重さが同一でない限り、必ずどちらかに振れる。秤がどちらにも傾かない状態を続けることはあまり好ましいことではないのだろう。戦争を止め、正邪を計るような外交が求められている。制裁だけを続ければ、今後さらに踏み込んだ制裁措置が求められる可能性も否定できまい。