女子団体パシュート決勝戦、悔しさは残りますが、感動的な素晴らしいレースでした。高木菜那選手にエールを贈りたい、そう思わずにいられません。
なぜ金メダル目前で高木菜那“転倒”の悲劇が起きたのか…氷上にあった”溝”と諸刃の剣だったパシュート新戦術(Yahoo!ニュース オリジナル THE PAGE)
決勝戦、勝つか負けるかしかありません。ベストを尽くした結果であれば、どんな結末であれ、それを受け入れるしかありません。相手カナダが強かったというだけのことなのでしょう。
菜那選手には悔しさが残ったのかもしれませんが、結果を受け入れ、自らを誇って欲しいと感じます。
世界が見つめるなかで涙した3人の姿やお互いを思いやる絆に、ネット上には菜那をねぎらい、鼓舞するコメントがあふれた。それを知らされた菜那は涙をこらえて、必死に顔を上げながら言葉をつむいだ。
「自分のことを誇ってくれている、ということだけは見失わないようにしたい。誇ってくれている人たちの分も含めて、しっかりと前を向いていきたい」(出所:The PAGE)
決勝の相手カナダもまた素晴らしいチームだったのではないでしょうか。
イザベル・ワイデマン、今大会の3000メートルと5000メートルでメダルを獲得したそうです。彼女の特性を活かしたことが勝因だったのでしょうか。
長距離のワイデマン選手は、前半は後方で控え、後半になると先頭を滑り、チームを引っ張り、また、1m87cm、その長身を活かし「壁」となり風を受け、後方の選手たちの感じる抵抗を小さくすることにも献身するといいます。
そのカナダチームに日本チームはチームワークで対抗する。ただ少しばかり体力差があったのでしょうか。
論語の教え
射は主皮(しゅひ)せず。力を為すや科を同じくせず。古の道なり。(「八佾第三」16)
「力を為すや科を同じくせず。古の道なり」。人民を使うときは体力差で分けるのが、古代からの方法であるとの意味です。
体力差をチーム力でカバーし、挑んでいく。そんなところがパシュートの魅力なのでしょうか。ほんとうに勝ち敗け抜きで感動するレースでした。
君子は争う所無し。必ずや射か。揖譲(ゆうじょう)して升下(しょうが)し、而(しか)して飲む。その争いや君子なり。(「八佾第三」7)
「君子は角突き合わせて競争するようなことはしない。競り合いあるとなれば、強いて言えば射の試合のときぐらいか。しかし、射礼というものがあり、射場となる堂となる庭との間を二人ずつ並んで出るとき、礼儀を守って昇り降りし、負けた方が罰杯の酒を飲む。その試合は優雅に楽しむのが目的であり、いかにも君子のものらしい」。
日刊スポーツが勝ったカナダチームのコメントを紹介しています。
【スピードスケート】カナダ・ワイデマンは金に驚き「日本に圧力かけられることは分かっていた」 - スピードスケート - 北京オリンピック2022 : 日刊スポーツ
ワイデマンは「私たちはまだ考えていますが、これはリアルですか? 強いチームができたのは分かっていたし、今日は日本や他の強いチームにプレッシャーをかけることができると分かっていた。しかし、この結果について考えたかどうかは分かりません」と信じられない心境を明かした。(出所:日刊スポーツ)
また、カナダチームのマルテ選手は「今は本当にシュールな感じがします。非常に高い感情があります。レースに出て、自分たちを誇りに思いたかった。自分たちでプレッシャーをかけたくなかったし、この決勝に進むのは特権だぐらいに思っていた。でも、ゴールラインを横切り、それを信じることができませんでした」と語ったといいます。
カナダチームにもまた強敵日本チームに勝とうとして挑戦してきた日々があったのでしょう。それがあってこそ素晴らしいレースだったのかもしれません。
ありがとう、日本チーム! 銀メダル、おめでとうございます!