「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

信用を失いつつある口コミサイト、信頼回復はあるのか

 

 時が経てば、新しいものも陳腐する。常にアップデートの作業が求められる。あたり前のことなのだろうけれど、上手くいっているときは、往々にして忘れがちになったりする。

陳腐化する口コミビジネス

「グルメサイトは利用者が多い一方、点数やランキングを疑う声も多い」と、プレジデントオンラインが指摘する。

若者の「食べログ離れ」が止まらない…信用をどんどん失いつつある"口コミビジネス"の正念場 4人に1人は「信用していない」 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

飲食店ポータルサイトの使い方に変化があるのだろうか。

「若者たちは、Google MapやInstagramを使った検索に移りつつある」という。

グルメサイトは、決して使われなくなっているわけではない。しかし、グーグルやInstagramなどの台頭を考えると、信頼性がこれ以上低下した場合、形勢が逆転する可能性さえある。(出所:プレジデントオンライン)

 グルメサイトの課題は山積みと記事は指摘し、「一番問題なのは、サービスの根幹を成す点数やランキング、口コミなどの信頼性が損なわれている」という。

 

 

 グルメサイトが世に登場したころは頻繁に使用していたが、あるときから「星の数」、評価点数が気になるようになった。調べて一番点数の高い店に行っても、期待外れだったり、自分の好きなお店の評価点数が低かったり。

 感じ方の違いからと思ったが、ステマ疑惑の報道があったりして、次第に信用しなくなっていった。

論語に学ぶ

子貢(しこう)曰わく、紂(ちゅう)の不善は、是(かく)の如くの甚(はなは)だしからず。

是(ここ)を以て、君子は下流に居るを悪(にく)む。天下の悪 皆(みな)帰すればなり。(「子張第十九」20)

「紂王の不善はそれほどひどいものではなかったが、それでも暴君と噂されていた。そうであるから、君子は悪徳者とみなされるを嫌う。世の悪という悪は、すべてその人のしたことになってしまうからである」と子貢がいった。

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 悪い噂は早く断った方が良いのだろう。人気のサイトには利用者ばかりでなく、それを利用して安易に儲けようとする人たちも引き付ける。プラットフォーマーとの意思に関係なく、その仕組みが悪用され、サイトのデータにまでも影響を及ぼすのかもしれない。

今こそ、これまで浮上した数々の疑惑を完全に否定し、ランキングや点数などの透明性を高くしていく必要があるのではないのか。

同時に、コロナ禍で困窮する飲食店に寄り添ったり、競合サービスの良いところを取り入れるなどの工夫も必要だろう。(出所:プレジデントオンライン)

 

 

消費者としては信頼できる使い勝手が良いサービスを利用していくだけのこと」。

 消費者、利用者は常に新しいものを探し求めているように思えるけれど、一方で、常に変わらぬことも求めているのだろう。

 信用に値する口コミ情報なのか否か。

 そこに疑義があれば、それに値する方へと流れていくのは自然なことなのだろう。 

「述べて作らず、信じて、古(いにしえ)を好む」と、「述而第七」1にある。

 孔子は、祖述しはするが創作はせずに、古典や古制、古道を好むという。

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 中国絵画にはよく「何某の筆意に倣う」といった賛がみられる。絵画を学ぼうとする者は、まず古来の名家の作品を臨模することから始めるのである。書についても同じであるという。

古いものを精根こめて学びとろうとするうちに、もし当人に独異の才能がありとすれば、それは必ずあらわれずにはおかない、と考えるのであって、みだりに幼稚な「独創性」をあわてて発揮しようとはしないのであるという。(引用:論語 桑原武夫

 孔子は自分の方法をのべているだけであって、その方法によって生れた彼自身の仕事の中にどのような新しさがあるかは、私たち自分たちが発見すべきことであると桑原武夫は解説する。

 グルメサイトも口コミ情報をまとめて提供してくれることに新しさと利便性があった。しかし、時が経てば、それに代わる新たなソースも登場し、陳腐していく。

 もうそろそろビジネスモデルを見直すときなのかもしれない。

 

「参考文書」

(令和2年3月18日)飲食店ポータルサイトに関する取引実態調査について:公正取引委員会