「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

メタバースにNFT、仮想現実の扉は開いたか ~ 炉辺閑話 #97

 

 メタバースに、NFT(非代替性トークン)が注目ワードになっているようだ。実用化はもう少し先かと思ったが、そうでもなさそうだ。

 三越伊勢丹が昨年、スマートフォン向け仮想都市空間サービス「REV WORLDS」仮想伊勢丹新宿店を立ち上げ、お店の雰囲気を味わいながら、買い物ができるようにした。コロナ渦あってのことなのかもしれない。その有用性が見直されてもいいのだろう。

今さら聞けない「メタバース」が騒がれている理由 | インターネット | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

 東洋経済オンラインによれば、韓国ソウル特別市メタバースに参入すると発表し、独自のメタバースを構築しているという。完成すれば、現在市役所の窓口でのみ対応している市民からの苦情や相談などを、メタバース上でアバター職員が対応できるようになるそうだ。

 

 

分身ロボットと仮想現実

 東京日本橋に、分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」が接客するカフェ「DAWN ver.β」がある。障害や病気を抱える就労希望者と社会をつなぐ実験的なプロジェクトの場になっているそうだ。

寝たきりでも働ける分身ロボット 孤独にならない未来のデザイン | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議

 こうしたことも拡張現実のひとつなのだろう。

 一方、韓国の現代自動車は、「メタモビリティ」というコンセプトを米国で開催されたCES2022で披露とした。同じくロボットを介して、現実の世界と仮想現実の間をつなぐという。

「メタモビリティ」の考え方は、空間、時間、距離がすべて無意味なものになるというものです。

ロボットをメタバースに接続することで、私たちは現実世界と仮想現実の間を自由に行き来できるようになります。メタバースが提供する「そこにいる」ような没入型の体験からさらに一歩進んで、ロボットが人間の身体感覚の延長となりメタモビリティによって日常生活を再構築し、豊かにすることができるようになります。(出所:TechCrunch)

 

 

論語に学ぶ

「互郷 与(とも)に言い難し。童子(どうじ)見(まみ)ゆ。門人 惑う。子曰わく、其の進むを与(ゆる)し、其の退くを与さざるに、唯何ぞ甚だしきや。人 己を絜(いざぎよ)くして進む。其の絜きを与すは、其の往を保たざればなり」と、「述而第七」28にある。 

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「互という郷あたりの人は、ともに話せる相手ではなかった。その地の学問の心得がまだ浅い初学者が孔子を訪れ面会した。門人たちは、面会許可をいぶかしく思った。すると孔子は、「学問を進んで求めることを許し、怠って退くことを許さないのが筋であるのに、お前たちは、なんとまあ、互郷の人に対する偏見が甚だしい。人間が率直な気持ちとなって学問に進むならば、その率直な気持ちを私が許すのは、その若者に過去のありかたにしがみつかないよいところがあるからだ」と孔子が述べたと解する。

 進取の心構えを孔子が評したのだろうか。

 

 

 アップルが今年、AR(拡張現実)/ VR(仮想現実)の新製品を発表するのではないかと噂されている。巨大テック企業が関連サービスを展開しはじめれば、普及が加速することもあるのかもしれない。

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(写真:株式会社オリィ研究所)

「蓋(けだ)し知らずして之を作る者有らん。我は是(こ)れ無きなり。多く聞きて其の善き者を択(えら)びて之に従う。多く見て之を識(しる)すは、知るの次なり」と、「述而第七」27にある。

 「本当に理解することなくして、新説を作り出す者がいる。私はそういうことはせずに、まず可能な限り学んで、その内のこれぞというもの、ことを選び取り、それに従う。可能な限り多くの資料に当たり、それらを記憶するというのは、知る、理解することの前段階なのである」と解される。

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 リアルな現実の世界でまだまだ解決しなければならないたくさんの課題があるというのに、バーチャルな仮想空間を野放図に作り出していいのだろうかと不安を感じるところもある。

 高貴な目的をもって始めても、参加者が増えれば、その目的が歪むこともあるものだ。仮想空間を正しく運営できるのだろうか。現実の社会と同じ問題が起こらないことを祈るばかりだ。

 

「参考文書」

現代自動車、メタバースにボストンダイナミクスのロボット「Spot」を送り込む | TechCrunch Japan