「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

不安募るオミクロン株とその影響 ~ 炉辺閑話 #68

 

 国交省が、変異株オミクロン株に対する水際対策を強めるため、日本に到着するすべての国際線について新規予約を停止するよう国内外の航空会社に要請したといいます。EUでは、この変異株で重症例は確認されていないそうです。政府の迅速な対応なのか、過剰反応かは定かではありませんが、事態が悪化しないことを願うばかりです。

 立憲民主党の役員人事が決まりました。代表選挙で争った西村智奈美氏が幹事長に起用されるようです。西村氏は記者団に「本当の意味での挑戦はここからだ。国民のための政治を行う政党だと示せるよう、全力で取り組んでいきたい」と述べたそうです。野党第一党として機能するように、体制の立て直しを進めて欲しいものです。

 

 

川の流れの如く

「子 川上(せんじょう)に在り。曰わく、逝く者は斯(かく)の如きか。昼夜を舎(お)かず」と、論語「子罕第九」19 にあります。

 渋沢栄一曰く、孔子が川の辺りに立つて水の流るるを観つつ、すべて逝く者はこの川の水の流るるが如く、昼となく夜となく流れ去って少しも休むことがない。光陰もまたこれと同じく一度去っては再び帰つて来ないとの意味だといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

「光陰矢の如し」、月日の経つのはあっという間で二度と戻ってこないから、無為に送るべきではないという戒めといいます。こうした言葉も、この章が語源だったりするのでしょうか。

 年老いた孔子がこうした言葉を吐露したのであれば、諦念の境地だったかもしれませんが、新体制になった立憲民主党には寸暇を惜しまず、邁進してもらいたいものです。

論語の教え

 新型コロナス対策で政府が調達したいわゆる「アベノマスク」などが8000万枚余在庫になっているそうです。その保管のために昨年度末までに6億円あまりが使われ、今でもこの保管料が発生し続けているといいます。「売払い、譲与等も考慮にいれた対応の検討が必要」と会計検査院は報告書で指摘しているといいます。

 こうした「ムダ」の処置をきっちりしていくことから始めるのもいいのかもしれない。些細なことを等閑にするような者にはとても大きな仕事を任すことはできないといいます。

 「子貢曰わく、斯(ここ)に美玉有らば、匱(とく)に韜(つつ)みて諸(これ)を蔵(おさ)めんか、善賈(ぜんこ)を求めて諸を沽(う)らんか、と。子曰わく、之を沽らんか、之を沽らんか。我は賈(こ)を待つ者なり」と、「子罕第九」13にあります。

 弟子の子貢が「ここに美しい玉があるとしましょう、それを箱に入れて倉庫にしまっておきましょうか、それとも、善い買い手を求めて売りましょうか」と、孔子に尋ねると、孔子は「売ろう、売ろう。私は買い手を待っている」と答えたといいます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 桑原武夫の解説によれば、「自分の学問は決してわが一身のためのものではない。安民すなわち人民に奉仕するのが目的である。良い仕官の道があれば、喜んで出て経綸を行ないたいという孔子の熱意が二度繰り返される「沽らん哉」という言葉の顕れているといいます。 

 さて、立憲民主党における「美玉」とは一体なんなのでしょうか。

「自由」と「多様性」を尊重し、支え合い、人間が基軸となる「共生社会」を創り、「国際協調」をめざし、「未来への責任」を果たすことが基本理念だといいます。この基本理念が記された綱領には、「私たちのめざすもの」として7つの項目が上り、美しい言葉が書き記されている。それは今この時代に求められるものかもしれません。

 

 

栄一が説く「能率増進」

「物事の大綱を握り、人情の趨(おもむ)く所を察し、刻下の時勢に処して何が最も急務であるかという事を明察し、決然たる覚悟を得る如きは、単に才智や力量や努力ばかりではできるもので無い」と渋沢栄一はいいます。

 栄一の存命の頃は、西洋で「能率増進」という研究がさかんに行われていたようで、栄一はこれを指摘し、「予定を立ててキチンと秩序正しく仕事を進めてゆき、この次ぎには是れ、これが済んだらアレと、時間にも力にも無駄をこしらえず、ことごとくこれを有効に利用すべきである」といっています。

 立憲民主党を強く支持しているわけではないですが、与党対抗軸として機能して欲しいとは思っています。対決すべきは対決し、やらなければならないことを与党が等閑にしているのであれば、そこを突破口にして実行力あることを示してもらえればいいのかもしれません。

 支持されない理由を正せば、支持されるのは当たり前のことではないでしょうか。折角の美しい玉を宝の持ち腐れにすべきではないように思います。