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【なぜトヨタは誤解されるのか】COP26で発表があったゼロエミッション車とどう融合できるか 

 

 英国グラスゴーで開催されていたCOP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会)で、懸案であったEVシフトに関する共同声明が発表された。

 それによれば、販売される全ての新車を、主要市場で2035年までに、世界全体では2040年までにEV電気自動車などのゼロエミッション車とすることを目指すという。

 議長国の英国の他、スウェーデンやカナダ、チリなど24カ国と、ドイツのメルセデス・ベンツ、米国ゼネラルモーターズGM)、米国フォードなどの自動車メーカー11社なども署名したそうだ。一方、日本や米中独仏などは署名に参加せず、日本の自動車メーカー、ドイツのVW フォルクスワーゲンBMWも署名しなかった。

 

 

抵抗勢力にあらず

 この共同声明に参加しなかったトヨタの早川副会長は、「環境に貢献するということは、会社のいろんな政策の中でもトッププライオリティ。それができなければたぶん生き残れない」と話しているという。

トヨタはEVの抵抗勢力にあらず、考えが伝わらずもどかしさ-副会長 - Bloomberg

 しかし一方で、「いろんな選択肢がある方がグローバルでの環境への貢献は圧倒的にできる」と強調する。もちろん、そこにはEVを強力に展開することも含まれるが、それだけにこだわらず、あくまで全方位戦略での世界貢献を主張する。

 こうした意見は世間から見れば、「バッテリーEVに抵抗している、内燃機関にこだわっているメーカーみたいだ」と映ってしまう。

 これに対して、早川副会長は「トヨタの考えが世の中にうまく伝わらないことに日々もどかしさを感じている」と述べたそうだ。

人知らずして慍(いか)らず

「学んで時に之を習う、亦た説ばしからず乎(またよろこばしからずや)。有朋遠方より来たる、亦た楽しからず乎。人知らずして慍らず(いからず)、亦た君子ならず乎」と、論語の開巻「学而第一」1 にある。

自ら習い修めた道を二三の友人に伝え共に語って楽しむを得るようになったうえは、更にこれを衆に伝え、それが天下に行われるようになったならば、一層悦ばしくまた愉快であるに相違ないが、さて、これを衆に伝え天下に行わうとすれば世間がその教えを容れてくれず、人は容易にその道の何たるかを解してくれない。

しかし、世間が解してくれず、人が知ってくれないからとて、君子たるの修行をするものはこれにに腹を立てて、怒るような事のあるべき筈のものでない。(参考:「実験論語処世談」 渋沢栄一記念財団)

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 トヨタはこんな思いを抱えているのではなかろうか。

 気候変動の問題を知り、それにもとづいて研究を重ね、自然や社会の現象を解き、その対策を検討し、実践していく。そうしたことを繰り返していると、必ず友となる人もやってきて、同じ道を営む仲間となり、喜びを分かち合えることができる。

 今、トヨタが広げようと輪が少しづつ広がり始めているのかもしれない。

 ただあまりにも独創的になると、すぐに社会に認められることがない。優れたアイデアも、まず耐えることから始まる。自己主張が認められないからといって、腹を立てたない。腹を立てたところで、理解されるわけではない。

 

 

 時代の趨勢に抗ったり、今回のCOPの合意事項に抵抗し続ければ、反体制派とみなされてしまう。そうした誤解は絶対にさけなければならない。

論語の教え

「有子曰く、その人と為りや孝弟にして、上を犯すを好む者は鮮(すく)なし。上を犯すを好まずして、乱を作(な)すを好む者は、未だ之れ有らざるなり」。

「君子は本を務む。本立ちて道生ず。孝弟は其れ仁の本為るか」、「学而第一」2 にある。

 目上の者に尽くし、敬うような人物であれば、反逆を好むというような人間は少ない。反逆を好まない人柄であって、にもかかわらず叛乱をしたがるというようなことは絶対にないということを意味する。

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 COP26では、化石賞を受賞したり、トヨタは環境団体グリーンピースから批判もされた。みなが気候変動対策に貢献しようとしていることに変りはないのだろう。その誤解を解き、みなが協力して進めることができるよう努力を続けなければならないのだろう。