「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

会期を延長して合意を目指すCOP26、スピード感を重視する政府の経済対策はばらまき批判

 

 COP26の会期が延長となったようです。最終日に議長国英国が示した議長案での合意が得られず、議長は、翌朝に再度、修正案を示すと発表したといいます。

 事実上、会期が延長になったようです。

九仭の功を一簣に虧く(きゅうじんのこうをいっきにかく)」、長年の努力もたった一つの失敗によって不成功になってしまうとの意味です。諦めることなく、最後の畚(もっこ:土など運ぶかご)を今まで積み上げてきた山の上までみなで運び上げなければならないのでしょう。

 

 

たとえば山を為(つく)るが如きように

 「譬(たと)えば山を為(つく)るが如きに、未だ成らざること一簣(いっき)にして止むは、吾が止むなり。譬えば地を平らかにするが如きに、一簣を覆(くつが)えして進むと雖(いえど)も、吾が往(ゆ)くなり」と、論語「子罕第九」19 にあります。

 一旦立てた目的、あるいは方針に対して、決して途中で挫折する様な事なく、あくまで完全に貫く様に努めるのが真実の道であると、この章の意味を渋沢栄一は解説します。

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 ただし、立てた目的を途中で替えても、これが善い方に替えたのであれば「一簣を成さずして止む」のでなく、いわゆる進歩になるのだから、後段の「一簣を覆すと雖も、進むは吾が往くなり」と見るべきであるといいます。

 最終合意文書をまとめようとするCOP26に参加する各国の代表は、こんな面持ちなのでしょうか。それぞれに思惑もあるのでしょう。しかし一方で、COP26の目的も追求しなければならない。理想と現実のせめぎ合い、そしてそれぞれが妥協点を模索しているのでしょう。

薄志弱行なる人

 兎角、薄志弱行の人には、九仭の功を一簣にかく事が有りがちだと栄一はいいます。こうあっては何事も成し遂げられるものではないといっています。

 

 

 国内では、政府がコロナ渦からの経済対策をまとめていますが、この対策での財政支出が40兆円超に膨らむ見通しとなったといいます。

経済対策の財政支出40兆円超に 10万円給付で膨張、19日決定 | 共同通信

 共同通信によれば、18歳以下の子どもを対象とする10万円相当の給付や、売り上げが減少した事業者に最大250万円を支給する給付金制度などが押し上げの要因という。

 この他にも、マイナンバーカードの新規取得者や保有者に対する最大2万円分のポイント付与、困窮者や子育て世帯の支援、それに加え、先端半導体工場への補助金、保育士や看護師らの賃上げ、デジタル技術を活用した地域活性化交付金などもあるそうで、「ばらまき」懸念が強まりそうだといいます。

 朝日新聞は、「自公が衆院選で掲げた政権公約だから仕方がないが、本当にこれだけの給付が必要なのか疑問は多分にある。バラマキを批判する世論に応える結果だったかと言えば自信はない」とこぼす財務省幹部の声を紹介しています。

スピード感

 自身が総裁選で掲げた施策は早々に引っ込め、公明党案ばかりを採用しているように見えてしまいます。これもスピード重視ということなのでしょうか。

 孫子は「兵は拙速を尊ぶ」と、少々まずい作戦でも、すばやく行動して勝利を得ることが大切であるとしましたが、今は拙速を用いるときなのでしょうか。

論語の教え

 スピード感ばかり重視して、あちらこちらで妥協ばかりでは、八方美人のように見えてしまいます。

郷原(きょうげん)は徳の賊なり」と、「陽貨第十七」11にあります。

郷原」は、 善良を装って、郷里の好評を得ようとする小人。 にせの道徳家。

「原」は、へつらって寛大なこと。

「八方美人の者の言動は、道徳にとって害になる」との意味です。

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「総じて事業を起すにあたっては、最初が大切なもので、拙速を尊ぶ事は宜しく無い」と栄一はいいます。そして、「甚だ危険なものだ」といっています。少々気になる言葉です。始まったばかりの政権ならば、スタートが肝心のような気がします。