「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

サステナブルを希求するようになった独身の日セールとシブヤの街 ~ 炉辺閑話 #59

 

 英国グラスゴーでCOP26が始まりました。この気候変動の問題を話し合う国際会議の最大の焦点は、平均気温の上昇を1.5℃以内に抑えられるか、そのために、各国が削減目標の引き上げに合意できるかと言われています。どうなっていくのか、注目です。

 2019年、台風15号と19号が相次いで東日本を襲い、その被害状況を目の当たりにしたとき、もうこれは他人事はないと痛切に感じるようになりました。それまでは「サスティナブル」は希求すべきこと、気候変動の問題は解決すべき事項と思っていましたが、もう一段危機レベルを上げなければならないと思い知らされました。

 地球を守るためには、良識を外れなければ、手段を択ばずくらいの気概があってもいいのかもしれない。

 

 

よりサステナブルに、インクルーシブに、変わる中国独身の日のセール

 中国では11月11日を独身の日と呼ぶそうで、毎年その日に合わせ、大規模なセールが催されるといいます。しかし、今年の独身の日セールは少し趣きが変わるそうです。

中国アリババ、今年の「独身の日」セールは過去最も低調か | ロイター

 ロイターによれば、通販大手のアリババが、今年の独身の日セールは「持続可能な発展」と「インクルーシブネス(社会包摂=誰も排除しないこと)」を推進すると表明したといいます。

有名人のライブ出演動画配信や大幅な値引きも引き続き大きな役割を果たすものの、優先するのは「環境にやさしい消費」と「足場の弱い人たちへの支援」だと打ち出している。

同社のクリス・トン最高マーケティング責任者は先週記者団に「われわれは重視する対象を純粋なGMW(注文の取扱高)の伸びから持続可能な成長に切り替えつつある」と語った。 (出所:ロイター)

 背景に当局による指導があるのかもしれませんが、大いなる変化なのかもしれません。

 無意味な過剰を止めるためには手段を選ばずとも言えそうです。

 本来は、企業が能動的にそうすることが理想なのでしょう。そうならないのが中国ばかりでなく、他の国においても同様ではないでしょうか。

 

 

SFプロトタイピングで描く未来のシブヤ

 東京渋谷では、「COP26」に合わせ、「渋谷COP2021」が開催されているといいます。

「渋谷COP2021」開催へ 「1.5度目標」に向けアクション起こすきっかけ提供(シブヤ経済新聞)

 シブヤ経済新聞によれば、パリ協定や気候変動について知らせ、アクションを起こすきっかけを提供することを目指しているといいます。

 主催は一般社団法人SWiTCH。SWiTCH代表理事の佐座槙苗(さざ・まな)さんは、「日本人は環境問題などにリテラシーが低すぎる」と感じ、「多くの人に『1.5度目標』を発信しなくてはいけない」と考え、「渋谷COP2021」を立ち上げたそうです。

「世界中の人が知っている街」であることや、「ダイナミックに変化している街だからこそ未来を構築できる。

新しい価値、ファッション、違いを作るシンボリックな街」と判断し、渋谷を拠点にする。 (出所:シブヤ経済新聞

「SFプロトタイピング」、サイエンスフィクション的な発想をベースに、まだ実現していない未来のビジョンを構築する手法を用いて、「2050年のサステナブルな渋谷区の姿」を描くワークショップも展開しているそうです。

 

 

論語の教え

君子は事(つか)え易く、説(よろこ)ばしめ難し。

之を説ばしむるに道を以てせざれば、説ばざるなり。其の人を使うに及んでは、之を器にす。

小人は事え難く、説ばせ易し。

之を説ばしむるに、道を以てせずと雖(いえど)も、説べばなり。其の人を使うに及んでは、備わらんことを求む

と、「子路第十三」25 にあります。

dsupplying.hatenadiary.jp

 この章は、君子は道を好むが、小人はそうではないと説いたものであると、渋沢栄一が解説しています。

君子には事えるに容易であるが、これを悦ばしめることは難しい。これに対するに道に適ったことでなければならないからである。すなわち阿佞諛好利慾は君子の好まざる所であるが、しかもこれを使うにその長所を見てするから事えやすい。

これに反して小人は、これに事えることは甚だ難しいが、悦ばしむることは容易い。何となればその為す所が道に適っておらずとも、利慾や諂諛(てんゆ:こびへつらい)を悦ぶからである。しかしてその心が刻薄であるから、人を責むるに必ず完備を以てするから使い難いのである、と説いたのである。 (出所:「実験論語処世談」 渋沢栄一記念財団

「道を求めず、利欲を求める」、栄一の解説が今日の世情をあらわしているようです。

 今、君子が求められているのでしょう。「サスティナブル」を説き、導いていくことが、新しいリーダーのカタチなのかもしれません。そして、常に求められるのは、善悪正邪を判断できる良識なのでしょう。