「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

酒池肉林の強欲資本主義が、なぜESGを目指すようになったのか ~ 論語の教え #2

 

 ある銀行のESG投資担当が話すその意義を知れば、銀行によって、世の中が善導されていき、この世のあらゆる問題が解決されるのではないか.....

いい企業とは何か。今後を考えた時、自社だけ儲かればいいという世界ではなくなってきています。 儲けることはもちろんですが、 環境にも配慮し、地域社会とも共生していく企業がいい企業であり、 持続的に成長する企業だと考えています。

なので私たちは財務情報に加えて、どれだけESGに関わる課題に取り組んでいるかという非財務情報も重視して企業を評価して投資先を決めています。(出所:Business Insider)

 多くの銀行がそう口にするが、現実は異なり、必ずしも、すべてが善者ばかりということはないのかもしれない。

 

 

 グローバルな先進企業が早くからESGに取り組めたのは、リーマンショック後に「強欲資本主義」に対する反省があったこと、気候変動問題に対して早くから危機意識を持って、企業が存続し続けるには、社会の持続が必要であることに気づいたからだと言われます。 (出所:Business Insider)

 人間の欲が暴走し世界を震撼させるような事件が起き、それを起点に世を善くしていこうとする人や企業がある一方で、その強欲を改められずに、そのままでいる人がいるのが現実なのだろう。

郷人の善者 之を好み、其の不善者 之を悪むに如(し)かず

世の中には善いものもいれば、悪いものもいるのだから、善い者から善いと言われ、悪いものからは悪いと言われるようでなければ、ほんとうの善者ではないと、論語子路第十三」24 にある。

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 ESG投資をきれいごとだとして悪む人たちがいて、それでも、多数の人々が正しいとするようになれば、ESGが「善」の価値を持つようになるということなのだろう。

 

 

輿論(よろん)は必ずしも正しいとは思われない」と、渋沢栄一はいう。

「ある時代には尭舜を悪み、桀紂を好いとするものがないこともあるまい」と指摘する。

「尭舜」は聖人、「桀紂」は悪名高き暴君のこと。

「強欲資本主義」、形は違えど、酒池肉林を貪った暴君「桀紂」が国を治めていた時代とあまり変わらないのかもしれない。

論語の教え

「君子は人の美を成す。人の悪を成さず」と、「顔淵第十二」16 にある。

「君子 教養人は、他者の美徳を達成させるし、悪名があればそれを消滅させる。小人 知識人はこれと全く逆のことをする」と、意味する。

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 君子、小人の区別は別として、銀行によるESG活動は、この概念に近いのかもしれない。

「グッドカンパニーとグッドビジネスを両立できる企業とは」ESG投資について知っておくべきこと | Business Insider Japan

 Business Insiderに登場した、りそな銀行の執行役は、ESG投資拡大のため、企業とのエンゲージメント、対話を続けているとそうだ。ただそれは、ESGが正しく、世に広く理解されていないということを意味しているのだろう。

君子は人の美を成す。人の悪を成さず

桀紂」のような酒池肉林の強欲資本主義から、「尭舜」によって行われた徳治主義への移行が求められている。

 ESG、これが「輿論」になるのであれば、論語の教えがもっと活きるのだろう。