「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【本立ちて道生ず】党改革は何処へ、論功行賞なのか、それとも改革への布石なのか

 

 かつて東洋一の規模とも言われた東芝深谷工場が閉鎖されたといいます。高度経済成長期をささえたテレビの生産拠点で、最盛期には7000人の従業員がいたそうです。操業開始は1965年というので、実に半世紀近く地元の雇用と経済を支えたということだったのでしょうか。工場は解体されるそうですが、まだ広大な土地の利用方法は決まっていないといいます。

 隆盛を誇ったブラウン管テレビも国際競争に敗れ、勢いを失い、電機メーカの凋落につながっていったのかもしれません。やはり好調は長続きしないといことなのでしょうか。

 

 

 自民党の役員人事が今日、正式に発表になるようです。

 どんな陣容で党改革を断行するのか、気になっていましたが、漏れ聞こえる情報では、あまり変わり映えしない人選のようです。様々な評価があるようです。

「改革」という崇高な掛け声があれば、期待が生まれます。その期待が外れると、それは失望になります。

「改革」は進むのでしょうか、それとも前の道義なき時代に逆戻りしてしまうのでしょうか。

論語の教え

「有司(ゆうし)を先にし、小過(しょうか)を赦(ゆる)し、賢才(けんさい)を挙げよ」と、論語子路第十三」2 にあります。

  孔子の弟子 仲弓(冉雍)が季氏の宰相になったとき、政治のあり方を質問し、それに答えた孔子の言葉です。

「まず担当官にしっかり担当させる。その成果における小さな失敗は許すことだ。そして、優秀な人材を抜擢する」との意味です。

dsupplying.hatenadiary.jp

 仲弓は「どのようにすれば、優秀な者を見つけ出し抜擢できましょうか」と続けて尋ね、孔子は「お前がこれぞと思う人物を抜擢せよ。お前がまだ見出せないでいる在野の人物は、人がそのままにしておくはずがなく、きっと推薦してくることであろう」と答えます。

 

 

郷原(きょうげん)は徳の賊なり

論語「陽貨第十七」11 に、そうあります。

郷原」とは、 善良を装って、郷里の好評を得ようとする小人。 にせの道徳家。

「原」は、へつらって寛大なこと。

「八方美人の者の言動は、道徳にとって害になる」と訳されます。

dsupplying.hatenadiary.jp

 郷原とみられてしまったら、改革が遠退くのではないでしょうか。

本立ちて道生ず。孝弟は其れ仁の本為るか

「有子曰く、その人と為りや孝弟にして、上を犯すを好む者は鮮(すく)なし。上を犯すを好まずして、乱を作(な)すを好む者は、未だ之れ有らざるなり。君子は本を務む。本立ちて道生ず。孝弟は其れ仁の本為るか」と、論語「学而第一」2 にあります。

 この章は、論語の二番目にあり、その理由を桑原武夫は、空想といいながら、乱世に道義を唱える孔子学団が、時の権力者たちからは反体制的な危険なグループと見られるのではないかという危惧があったため、あえて、この章を2番目においたといいます。

 

 

 自分たちは「仁」を求めるものである、その仁の基礎には家族道徳があり、自分たちはまず「孝悌」の涵養に尽力している。世間を観察すると、家族内で上位者に奉仕することを好む人間は、必ず政治的にも上位者に柔順で、反体制的にはならないものである、自分たちを誤解しないでもらいたい、という含みがあったのではないかと解説しています。

dsupplying.hatenadiary.jp

 新総裁が改革実行にあたり、まずは党内基盤を安定化させてからと、読むこともできそうです。党役員の任期を1年にするというのだから、まずは論功行賞しておいて、その後、改革という流れがあっても良さそうです。が、それは読みすぎ、過大評価でしょうか。

有司を先にし、小過を赦し、賢才を挙げよ

 次の組閣を見ればいいのかもしれません。誤解が生じないよう、適材適所に努め、賢才をあげてもらいたいものです。