電動キックボードに、ドローンや空飛ぶクルマ eVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)などが登場し、早期の実用化が待たれています。
それでも人とは不思議なもので、そうした新しいモノが登場すると、すぐに試したくなるものです。
便利になったといってのかわかりませんが、規制があって日本で正規に販売されていなくても、簡単にネットで輸入品を購入できたりします。しかし、時として、そうして購入されたものが問題になることがあるようです。
電動スケーター摘発相次ぐ 安全装置付けず公道走行 : ニュース : 中部発 : 地域 : 読売新聞オンライン
と、読売新聞が報じています。
電動キックボードの実用化に向け実証実験が始まり、運転免許不要、ヘルメット着用は努力義務で、自転車専用レーンや路側帯を走れるよう、道交法の改正が検討されているといいます。しかし、残念なことに、そうした整備前に、無許可で使う人が現れ、事故を起こしているそうです。
まどろこしいことですが、新しいモノを実用化するには関連する法規制を確認し、それに適合させる必要があります。また、場合によっては、電動キックボードのように法改正をしなければならないケースもあります。
そうした労苦を厭わず挑戦する人がいるからこそ、これまで多くの新しいモノやサービスが実用化されてきたのでしょう。
渋沢栄一もそのひとりなのかもしれません。
明治期のはじめ、新政府に懇願され、栄一は大蔵省への出仕を決意します。大隈重信に説得されたといわれています。
「大隈伯の八百万の神達論で吹き飛ばされてしまつたものだから、私も近頃の言葉にいふ一寸面喰つた形で、遂に断りきれず、大蔵省租税正といふ職を仰付けられる事になつたのである」(実験論語処世談 渋沢栄一記念財団)と、その当時の様子を栄一は述べています。
「八百万の神達論、神計りに計りたまえという文句を君は知っているか」
「知っています。祝詞の文句ではありませんか」
「今の日本がその状態なのだ」
「はあ」
「新政府のやろうといていることは、すべて知識も経験もないことばかり。何から手をつけてよいかわからぬのは、君だけではない。誰もが、わからん。わからん者が智慧を出し合い、これから相談してやって行こうとしている。つまり、われわれみんなが八百万の神々なのだ。君も、その神々の中の一柱として迎えた」
栄一は大隈の話に引き込まれた
「知らぬからやめるというなら、みな、やめねばならなぬ。やめたら国はどうなる」
(引用:雄気堂々 上巻 城山三郎 P434~435)
その後栄一は、大蔵少輔になりますが、明治六年に、その職を辞して民間に下り、論語に説かれる教訓に従って実業の振興を計ろうとする決心を固めたといわれます。
論語の教え
「利に放(よ)りて行えば、怨み多し」と、論語「里仁第四」12 にあります。
栄一もこの言葉をよみ、実業の振興を図ろうと考えたのかもしれません。
「利」は元来、公益、公利 (国家、社会のため)であって、私利私欲ではないと、加地は「易」文言伝の「利は義の和なり」を引用し解説します。
この章の「利」は私利私欲を意味し、それを批判しているという。「放」を放縦(ほしいまま)とする解釈もある。
「利害打算だけで行動すると、他者から怨まれることが多くなる」。
まさに利害打算だけで輸入された電動キックボードのことを言っているかのようです。
経済産業省が、ドローンや空飛ぶクルマなど「次世代モビリティ」の社会実装に向け、2022年度予算の概算要求で38億円を要求したといいます。事業期間は2022年度からの5年間で、2025年の大阪関西万博で空飛ぶクルマの事業化を目指すといいます。
「点から点の移動で新しいネットワークができれば、街のあり方が変わります」
空飛ぶクルマで人の往来が大都市を経由せずに街と街を直接往来できるようになれば、まちづくりでも変化が期待できるとAviation Wireは指摘します。
経産省や国交省は、2018年に民間と「空の移動革命に向けた官民協議会」を立ち上げており、今回経産省が要求した予算は、2023年の事業開始を念頭に、ベンチャーなど民間の参入を促す狙いがある。 (出所:Aviation Wire)
少しばかりスローなアクションのように感じてしまいますが、進展はあるようです。
一方、ドローンは来年2022年には、全国の住宅地上空でドローンによる無人飛行が解禁されるようです。ドローンを使ったサービスの開発が進み始めているそうです。