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「ちぐはぐ」、「マンネリ」、記録更新を続けるコロナ【知者は人を失わず、亦言を失わず】~炉辺閑話 #19

 

 9500人超え、一日の新規感染者数が10,000人に近づいています。新型コロナウイルスを上手にコントロールできていると言われていたのが嘘のような数字に感じます。

「医療の逼迫が既に起き始めているという認識だ」と尾身会長が国会で危機感を示したといいます。

 一方、都福祉保健局の幹部がその前日には、重症化のリスクの高い高齢者の割合は少なくなり、病床の確保も進んでいるとして、「年明けの第3波のときとは本質的に異なっているので、医療に与える圧迫は変わっている。いたずらに不安をあおることはしていただきたくない」と述べたといいます。

 ちぐはぐさを感じてしまいます。

 

「人流は減っている」と首相はいい、それを東京オリンピックを中止しない理由にあげました。オリンピックで金メダル第1号となった選手には祝福の電話を掛けたといいます。

 神奈川県では、新規感染者数がはじめて1000人を超え、黒岩県知事が「いちばん心配していた感染者激増のモードに入ってしまった」と述べたといいます。ひどく他人事のように聞こえてしまいます。 

 こんなちぐはぐな状況では、到底コロナが収束に向かうとは信じることができません。

知者は人を失わず、亦言を失わず

与(とも)に言う可くして、与に言わざれば、人を失う。与に言う可からずして、之と言えば、言を失う。知者は人を失わず、亦(また)言を失わず」(「衛霊公第十五」8)との言葉があります。 

dsupplying.hatenadiary.jp

 その人ともに発言すべきであるのに、それをしないでいると、その人柄が大したことがないということになる。また、賛成すべきでない意見に賛成したりすると、まちがった意見の持ち主ということとなる。賢人は、人柄を失墜しないし、意見も間違わないとの意味です。

専門家

 この難しい時期に、色々な意見が公の場で出て、それが報じられては、ただ混乱するだけではないでしょうか。

 コロナとの付き合いも1年以上が経過し、みながそれなりに対処の方法を理解したはずです。そうであるにもかかわらず、状況は悪化するばかりです。いつまでも感染症の専門家に頼るだけでよいのでしょうか。

 そろそろ別の専門家にこの問題を委ねてときなのかもしれません。(もちろん感染症の専門家の意見を尊重すべきではありますが)

 

臨床心理学

 オリンピックの開催で、コロナを軽くみてしまう『楽観バイアス』が強まり、緊急事態宣言が意味をなさなくなってきていると、臨床心理学の専門家が指摘しているとNHKが伝えます。

五輪のお祭りムードが徐々に醸成され、一方で緊急事態宣言という矛盾する2つのメッセージが出ている。

人間の心理としては、自分が聞きたいほうだけを取り入れてしまうのは、非常に自然で、大会の開催で世界中から人が来ても大丈夫なのだととらえてしまい『コロナはたいしたことがない』と軽くみてしまう『楽観バイアス』が強まる。

緊急事態宣言も、最初は身構えたが、慣れてしまう『順化』の状況にあり、効果がなくなっている一方で、オリンピックという新しい刺激がある中、緊急事態宣言が意味をなさなくなってきている。 (出所:NHK

www3.nhk.or.jp

 この時期に、「コロナの怖さを訴えても不安を持たなくなっていて、自粛してくださいとことばでメッセージを出し続けても効果がない」と専門家はいいます。「長期戦を見据えて、感染症の問題だけでなく、人間の心理と行動の傾向を加味した対策がより重要になってくる」とも指摘しているそうです。

 いつまでも同じことを繰り返し行っても、同じ結果になることは自明ではないのでしょうか。マンネリの好例なのかもしれません。慣れほど怖いものはありません。