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コロナ渦の感動してしまうオリンピックシーン【遠きを致すに恐らくは泥まん】~炉辺閑話 #17

 

 東京オリンピック、アスリートたちが活躍を始めています。感動、興奮、歓喜、涙、慢心、油断、そんな言葉で言い表すことができるのでしょうか。

 阿部兄妹の金、卓球の混合ダブルス、手に汗を握る接戦だったドイツ戦のあとの伊藤美誠選手の涙が印象的でした。この深刻なコロナ渦において、不謹慎なことなのかもしれませんが、感動は感動として、素直に喜びたいなと感じています。

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恒有る者たち

善人は吾得て之を見ず。恒有る者を見るを得ば、斯ち可なり。亡きなるに有りと為し、虚なるに盈(み)てりと為し、約なるに泰(たい)と為す。難(かた)いかな、恒有ること」(「述而第七」25)との言葉があります。

 善人、こういう人と出会うことはとてもできないが、自分の気持ちに揺るぎのない者と出会うことができれば、それでよしとしよう。しかし、現実には、知識がないのにあるとしたり、人格は虚なのに充実しているように見せかけたり、貧しいのに豊かなまねをしたりしている。揺るがない心構えのあり方は難しいとの意味です。 

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 オリンピックで活躍する選手たちの強い目標意識にはただ感嘆するばかりです。その強い意志が目標を現実化させるのでしょうか。 

 

遠きを致すに恐らくは泥まん

 スケボーの堀米選手が金メダルを獲得し、初出場となった水泳の大橋悠依選手も見事に金。その一方で、大物たちが予選落ちしたりました。 

君子は泰して驕らず。小人は驕りて泰ならず」(「子路第十三」26)

君子 教養人は、堂々としているが驕り高ぶったりしない。小人 知識人は、驕り高ぶりはするが堂々とはしていないとの意味です。 

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 オリンピック慣れすると、心のどこかに油断が報じたりするのでしょうか。

小道と雖(いえど)も、必ず観る可(べ)き者有り。遠きを致すに恐らくは泥(なず)まん。是(ここ)を以て君子は為(おさ)めざるなり」(「子張第十九」4)との言葉があります。

 遠大なことを達成するには、小道だけに頼っていては進まない。それ故に、君子 教養人は小道を求めて学ぶのではないとの意味です。 

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 より大きな目標を目指すのであれば、今までのトレーニングだけでなく、プラスアルファの学びが必要ということを教えてくれているのかもしれません。

 

人能く道を弘む。道 人を弘むに非ず

 コロナ渦で1年延期となった大会。アスリートたちも今までとは違った環境で、トレーニングすることを求められたのでしょう。そんなアスリートたちの活躍をみると、心を動されたりします。

  一方、東京の街では、コロナの勢いが一向におさまらず、止まることを知らないようです。

人能(よ)く道を弘(ひろ)む。道 人を弘むに非(あら)ず」(「衛霊公第十五」29)といいます。 

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 来日したオリンピック選手の中から感染者が出ていますが、それより遥かに多くのアスリートたちはきちんと感染対策をして大会に臨んでいるはずです。

 難しいことなのでしょうけれども、そうした姿勢を真似、コロナのことを考えるきっかけになればいいのかもしれません。

 

「関連文書」

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「参考文献」