河野行政改革担当相が、「FAX廃止令」を発したそうです。FNNプライムオンラインによると、6月中にFAXを原則廃止するよう、各府省に指示したといいます。
知らず知らずに身についた習慣を変えていくことは、なかなか骨のいる作業です。
テレワークの推進や業務効率化を目的しているとのことです。電子メールが登場して長い年月が経ちます。未だにファックスを利用する理由は何のでしょうか。紙がまだあちこちで利用されているということなのでしょうか。
目的は頭の中でわかっていても、いざ実行しようとするとき、新しいことより、ついつい手慣れたことの方へ、その方が効率的と思ったりしてしまうものです。そうなってしまうと、元の木阿弥、なかなか定着することがないのかもしれません。
先日、薬局で、順番待ちをしているとき、薬の注文だったのでしょうか、薬剤師さんがファックスする光景を目にしました。パソコンの前に座り、システムを立ち上げて電子注文するより、所定書式の紙にささっと記入する方が楽なのだろうなと眺めていました。世に言う、デジタル化はこういうところ始めるべきなんだろうなとも感じていました。
のどのかわいていない馬に水を飲ますことにはできない
「之を如何(いかん)せん、之を如何せんと曰わざる者には、吾 之を如何ともする末(な)きのみ」(「衛霊公第十五」16)といいます。
「どのようにすればよいでしょうか」と問わない人を、どうすることもできないとの意味です。
のどのかわいていない馬に水を飲ますことの不可能なことは、洋の東西を問わず、知られたことといいます。
問題意識を持たない人に、問題の解き方を教えることはできないということです。
ファックスを止めようと真に願望しない限り、ファックスがなくなることはないのかもしれません。
ビジネスマナーは簡素に
「礼は其の奢らんよりは、寧ろ倹せよ」(「八佾第三」4)といいます。
「礼」とは規範とかマナーのことも指します。ビジネスマナーも簡素、質素、シンプルにしたほうがよいのではないでしょうか。
紙のムダや、ファックスを受け取る相手がどう感じているだろうかとの気づきがあれば、その行為の目的の理解につながるかもしれません。
新しい習慣を身につけるために
「日々に其の亡き所を知り、月々に其の能(よ)くする所を忘るる無くんば、学を好むと謂(い)うべきのみ」(「子張第十九」5)といい、「日々新しいことを知り、月々に復習を怠らないようにするのであれば、学を好むということができる」との意味ですが、新しいことを知ったなら、復習しないと定着しないとの意味に解せます。
さて、ファックスの廃止は定着するのでしょうか。
上 礼を好めば.... FAXは廃止できるか
「上(かみ)礼を好めば、則ち民は敢(あ)えて敬せざること莫(な)し。
上 義を好めば、則ち民は敢えて服せざる莫し。
上 信を好めば、則ち民は敢えて情を用いざる莫し」。(「子路第十三」4)
という言葉があります。
指導者が「礼」「義」「信」をもとにして行動し、それが民に理解されれば、民はその人を尊敬し、支持し、そして、言い訳をしなくなるとの意味です。
「夫(そ)れ是(かく)の如(ごと)くんば、則ち四方の民、其の子を襁負(きょうふ)して至らん」と続きます。
指導者がそうした態度であれば、民が集まってくるとのことです。
ファックス廃止の定着も、河野大臣の行動次第なのかもしれません。
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