邦君(ほうくん)の妻、君 之を称して、夫人(ふじん)と曰う。夫人 自ら称して、小童(しょうどう)と曰う。邦人 之を称して君夫人(くんふじん)と曰い、諸(これ)を異邦に称して、寡小君(かしょうくん)と曰う。異邦人 之を称して、亦(また)君夫人と曰う。(「季氏第十六」14)
(解説)
「国君の妻に対して、国君は夫人と呼ぶ。夫人は自分のことを小童と言う。その国の人たちは、君夫人と呼び、外国人に対して言うときは、寡小君と呼んだ。外国の人もまた、君夫人と称した」。(論語 加地伸行)
「童」、「寡」とも謙遜を表す言葉と加地は解説する。
「童」、謙遜して幼稚という意味、「寡」、自分の徳性が寡(すく)ないという謙遜の言葉。
「邦人 之を称して君夫人と曰い、諸を異邦に称して、寡小君と曰う」
「敬意」と「謙遜」
国にあっては敬意を示し、外国に対しては謙遜する。
もしかしたら、「外交辞令」はこういうことから生まれたのだろうか。
(参考文献)