子曰わく、君子は貞にして諒ならず。(「衛霊公第十五」37)
(解説)
孔子の教え。「君子 教養人は大正義に従うが、小信義にはとらわれない」。(論語 加地伸行)
「貞」は正道、「諒」は小信と解するという。
辞書によれば、「貞」とは、「心が正しく安定して迷わない」。「正しい」を意味し、「諒」とは、「うそを言わないこと」。「まこと」とある。
「正道」の対義語は、「邪道」。邪(よこし)まな道であろう。
「正義」の対義語は、「不義」。人として守るべき道にはずれること。
「晋の文公は譎(いつわ)りて正しからず。斉の桓公は正にして譎らず」(「憲問第十四」15)と、孔子は言う。
「其の鬼に非(あら)ずして之を祭るは、諂(へつら)うなり。義を見て為さざるは、勇無きなり」(「為政第二」24)と、孔子はいう。
「自分たちの祖霊でない他者の霊を祭るのは、不義のものだ。逆に、義(ただ)しいものと分かっておりながら、実行しないのは勇気がないからである。」と、加地は解する。
「思い邪(よこしま)無し」(「為政第二」2)
見せ掛けだけの巧言令色を嫌った孔子は、詩についても華やかで優雅な美辞麗句を嫌い、邪心のない純粋な感情が迸る(ほとばしる)ような詩を好んだという。
「本心」は善い心を意味し、「邪心」は悪い心を意味する。
「邪心」、邪悪な心。他人を陥れたり、自分だけが利益を得ようとしたりする悪い心。
君子は貞にして諒ならず
「正しい」ということの意味を考えさせられる。
(参考文献)