「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【邦に道無くして穀するは、恥なり】 Vol.335

 

憲(けん) 恥を問う。子曰わく、邦に道有れば穀(こく)す。邦に道無くして穀するは、恥なり。

克(こく)、伐(ばつ)、怨(えん)、欲 行なわれざる、以て仁と為す可きか、と。子曰わく、以て難しと為す可し。仁は則(すなわ)ち吾知らざるなり、と。(「憲問第十四」1)

 

  (解説)

原憲が恥とは何でしょうかと質問した。孔子は、こう答えた。「邦に道義に基づいた政治が行われているとき、出仕するのがいい。しかし、道義なき政治で乱れているのに仕えているのが、恥である」

「勝ちたがり、自慢する、恨む、欲深、こういうことをしなければ、人の道を踏んだことになりますでしょうか」。孔子「難しい。それで「仁」人の道を踏んだことになるのかな」。論語 加地伸行

 

 「原憲」、姓は原、名は憲、字名が子思。魯の国の人で、孔子の弟子。孔子の知行地の宰になった人物。この原憲は貧しい学究で、孔子の死後、衛の宰相となった子貢が美々しく威儀をととのえて、陋屋の原憲をたずね、かえって辱しめられたという伝説があるという。

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 そんな原憲との問答でも、「仁」について語られる。

「克、伐、怨、欲 行なわれざる、以て仁と為す可きか」

 

 

 孔子は原憲の生活の不如意をよく知っていたという。それが「難しい」という言葉になったのだろうか。

「邦に道有りて、貧にして且つ賤(いや)しきは、恥なり」(「泰伯第八」13)

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 コロナで混乱する社会にあって、やはり経済を優先させることに無理があるのだろうか。まずは、「人心」「民心」の安定が何より先決なのかもしれない。 

 

 (参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

 
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫