「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【郷人の善者 之を好み、其の不善者 之を悪むに如かず】 Vol.328

 

子貢(しこう)問いて曰わく、郷人(きょうじん)皆 之を好めば、何如、と。子曰わく、未だ可ならざるなり。

郷人皆これを悪(にく)めば何如、と。子曰わく、未だ可ならざるなり。郷人の善者 之を好み、其の不善者 之を悪むに如(し)かず、と。(「子路第十三」24)

 

  (解説)

子貢が質問した。「その土地の人のだれもが、善い人との評判がありましたらどうでしょうか」と。孔子は、「まだ善人とは言えない」と答えた。

 「その土地の人の誰もからも憎まれておりましたら、どうでしょうか」と。孔子は答えた。「まだ善人とは言えない。その土地の善人が善いとし、悪人が悪むことがあってはじめて、ほんとうの善人と言える」と。論語 加地伸行

 

「里仁第四」3では、「唯仁者のみ能(よ)く人を好み、能く人を悪(にく)む」、といい、心ある仁者は、善い人と、悪い人を見極めることができるという。

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 人の世には常に、善と悪が存在するのかもしれない。

 

「顔淵第十二」16では、「君子は人の美を成す。人の悪を成さず。小人は是に反す」といい、君子が、他者の悪名があればそれを消滅させるの対し、小人はこれと逆の行為をするという。 

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 「善人は世に受け入れられない」、ということが常なのかもしれない。

   

(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

 
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫