「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【善人 邦を為むること百年ならば、亦以て残に勝ちて殺を去る可し】 Vol.316

 

子曰わく、善人 邦を為(おさ)むること百年ならば、亦(また)以て残(ざん)に勝ちて殺を去る可し、と。誠なるかな、是(こ)の言。(「子路第十三」11)

 

  (解説)

孔子の教え。善人が為政者となって百年もの時があれば、残忍な連中も感化し、死刑も不要となることができると、ある。本当にそのとおりだ、この言葉は。論語 加地伸行

   

「人の過つや、各々其の党に於いてす。過つを観れば、斯ち仁を知る」。「里仁第四」7

 徂徠は、人民が過失を犯すとすれば、それは自分の住んでいる地域社会の感化によるもので、人民の過ちのあり方をみれば、そこの支配者である君主の仁つまり道徳の高低、その影響いかんがわかるという。   

 

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 徂徠の読みに従えば、この章が言わんとすることもよく理解できる。

 

「子、子賤を謂う。君子なるかな、若(かく)のごとき人。魯に君子者無くんば、斯れ焉(いずくん)ぞ斯をとらん、と」。

 「公冶長第五」3では、伊藤仁斎は、子賤を例にして、人間的接触による感化の深さ、その重要性を説いたと読む。

 

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 100年では長すぎるような気がする。それほど、仁の実践による感化には時間がかかるということなのだろうか。

 

(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

 
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫