曾子(そうし)曰わく、君子は文を以て友を会し、友を以て仁を輔(たす)く。(「顔淵第十二」24)
(解説)
曾子の教え。「君子 教養人は、学芸を通じて友人と交わる。その友誼によって、お互いに人格を高めることを助け合う」。(論語 加地伸行)
曾子は、「吾 日に吾が身を三省す」(「学而第一」4)といい、友の選択の必要性も説いた。桑原はこの章を、まず小さい範囲で忠信を尽くし、さらにおのれの能力に応じて行動半径を広げてゆくことを求めたものと解していた。
「泰伯第八」5で、曾子は、「能を以て不能に問い、多を以て寡なきに問い、有れども無きが若くし、実てども虚なるが若くし、犯さるるも校いず」といい、亡きわが友はできていたのだという。
「曾子」、姓は曾、名は参。字名は子與。親孝行で有名だという。孔子より46歳年少で門下の年少グループに属したが、孔子の死後やがてその学団の長となって、儒教の正統を伝えた人といわれる。曾子から子思(しし:孔子の孫)へ、さらに性善説を主張する孟子へと伝わったといわれる。
(参考文献)