司馬牛(しばぎゅう)仁を問う。子曰わく、仁者は其の言うや訒(かた)し、と。曰わく、其の言うや訒ければ、斯(すなわ)ち之を仁と謂(い)か、と。子曰わく、これを為すや難(かた)し。之を言うに訒(じん)なること無きを得んや、と。(「顔淵第十二」3)
(解説)
司馬牛が「仁」とは何でしょうか、と質問した。孔子はこう教えた。「仁者は、その発言が慎重である」と。すると司馬牛は「発言が慎重ですと、それがすぐさま仁ということですか」と尋ねた。孔子は「仁というのはなかなか難しいぞ。仁の話となれば、発言の慎重さがないといけないぞ」と。(論語 加地伸行)
「司馬牛」、姓は司馬、名は耕、字名が子牛。孔子の弟子の一人。おしゃべりであったという。
「訒」は「難」、慎重なので、言葉がなかなか出てこないさまと加地は解説する。
剛毅木訥(ごうきぼくとつ)は仁に近し、と孔子はいう(「子路第十三」27)。
「木訥」、かざりけがなく、口数が少ないこと。おしゃべりであったという司馬牛への訓戒でもあったのだろうか。
「関連文書」
(参考文献)