「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【大臣とは、道を以て君に事うるなり。不可なれば則ち止む】 Vol.278

 

季子然(きしぜん)問う、仲由(ちゅうゆう)、冉求(ぜんきゅう)は、大臣と謂(い)う可(べ)きか、と。

子曰わく、吾 子を以て異を之問うと為す、曾(すなわ)ち由と求の問いか。所謂(いわゆる)大臣とは、道を以て君に事(つか)うるなり。不可なれば則ち止む。今 由と求とは、具臣(ぐしん)と謂う可きのみ、と。

曰わく、然(しか)らば則ち之に従う者か、と。

子曰わく、父と君とを弑(しい)せば、亦(また)従わざるなり、と。(「先進第十一」22)

 

  (解説)

季氏の子然が尋ねたことがあった。「仲由と冉求とは、大臣ということができるか」と。孔子は答えた。

「私にこれは異なことをおたずねなさる。由と求とについてでありますか。世にいう大臣とは、見識をもって君にお仕えするものです。ですから、主人の言動が間違っておりましたら、辞職するまでです。かの由と求とは、世にいう数だけそろった臣にすぎませぬ」と。

すると子然はこう反論した。「そうとあらば、二人はただ主人のそばにいるだけのことか」と。孔子は諭した。

「もしその主人が、父君や主君を弑するようなことがありましたならば、主人の側を離れ、付いてゆきませぬ」と。論語 加地伸行

  

 

「季子然」、魯の実質的支配者である三桓氏の一つである季孫氏の一門であるとみられるが、諸説あってよくわからないと加地はいう。季平子の子で季桓子の弟とする説があるという。

「仲由」は子路のこと。

「冉求」は姓は冉、名は求、字名が子有。いわゆる冉有のこと。

 

 

(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)