「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

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【顔淵死す。門人 厚く之を葬らんと欲す。子曰わく、不可なり】 Vol.267

 

顔淵死す。門人 厚く之を葬らんと欲す。子曰わく、不可なり、と。門人 厚く之を葬る。子曰わく、回や、予を視(み)ること猶父のごとくす。予は視ること猶子のごとくするを得ず。我に非(あら)ざるなり。夫(か)の二三子(にさんし)なり、と。(「先進第十一」11)

 

  (解説)

「顔淵が亡くなった。門人たちは手厚く葬ろうとした。孔子は、「いけない」と許さなかった。門人たちは手厚い葬儀を行った。孔子は言った。「回は私を自分の父に接するようにしてきた。私も自分の子に接するようにしたかったのにそれができなかった。礼に従った葬礼にならなかったわけは私にあるのではない。かの門人たちの考えだ」と。」論語 加地伸行

  

 親が先に亡くなり、子が親の葬儀を行うのが一般的であって、顔淵も孔子の子 鯉も、父より先に亡くなった。これは逆縁であり、あえて言えば「不孝者」である。「不孝者」には葬儀を手厚くしない。それが一般則だと加地は言う。

 また、葬儀は亡くなった人の身分や財産によって厚くも薄くもなるのが一般的で、貧しかった顔淵を厚く葬ることは普通ではないともいう。

 

 

 

(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)