「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【三軍ありとて、帥を奪う可し。匹夫とて、志を奪う可からず】 Vol.232

 

 子曰わく。三軍ありとて、帥(すい)を奪う可(べ)し。匹夫とて、志を奪う可からず。(「子罕第九」26)

 

  (解説)

孔子の教え。三軍の多数の兵がいても、その司令官を奪い捕えることができる。しかし、一人の男といえども、その志を奪うことはできない。」論語 加地伸行

 

 桑原はこう解説する。

 一軍は12,500人、その三つを出すのは諸侯である。「帥」は総司令官。「匹夫」とは本来、貴族のように多くの妻妾を持たず、ただ一夫一婦が匹(つれあい)になっている低い身分の人間のことだが、ここでは普通の平民ととってよかろう。 

 

 

 「三軍」といわれるほどの大軍団でも、それが団結しないかぎり、その総司令官を奪い去ることもできる。しかし、一個の人間は、どんなに地位が低く弱い者であっても、その志を奪う、つまり強制して変えようさせることはできない。人間の意志の力、精神力強さを力説し、同時に志の鍛錬と堅持の必要を強調したのである。

 

(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

  
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫