「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【戦戦兢兢として、深淵に臨むが如く、薄氷を履むが如し。而今而後、吾 免るることを知るかな】 Vol.190

 

 曾子 疾(やまい)有り。門弟子を召して曰わく、予が足を啓(ひら)け、予が手を啓け。詩に云う、戦戦兢兢(せんせんきょうきょう)として、深淵に臨むが如く、薄氷を履(ふ)むが如し、と。而今而後(じこんじご)、吾 免(まぬか)るることを知るかな。小子。(「泰伯第八」3)

  

(解説)

曾子が重病になられた。弟子たちを集めてこうおっしゃられた。「私の足を調べてみよ、手を調べてみよ。詩にこうある。いつも恐れて、深い淵をのぞきこむような、薄い氷の上を歩くような、と。これからはもうその心配をしなくてもすむ。お前たちよ」と。」論語 加地伸行

  

 「曾子」、姓は曾、名は参。字名は子與。親孝行で有名だという。孔子より46歳年少で門下の年少グループに属したが、孔子の死後やがてその学団の長となって、儒教の正統を伝えた人といわれる。曾子から子思(しし:孔子の孫)へ、さらに孟子へと伝わったといわれる。

 

 「戦戦兢兢として、深淵に臨むが如く、薄氷を履むが如し」

そのような気持ちで、父母からいただいた自分の体を傷つけまいとしてきた曾子。臨終を迎えつつある曾子が、弟子たちに自分の体を調べさせ言ったと加地は解説する。

 

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(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

  
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫