「論語を現代に活かす」 時代を超えて読まれた名著

未来はすべて次なる世代のためにある

【温やかにして厲し。威ありて猛からず。恭むあるも安し】 Vol.187

 

 子は温(なご)やかにして厲(はげ)し。威ありて猛からず。恭(つつし)むあるも安し。(「述而第七」37)

  

(解説)

孔子は、なごやかではあるが厳格さがある。威厳はあるものの猛々しくはない。慎み深くはあるが、ゆったりしておられた」。論語 加地伸行

  

 桑原の解説。

  「論語」を読んでゆけば、おのずとさとらされるように、孔子は学究でもなく、政治家でもなく、芸術家でもない。まとまった人格でありながら、一本調子では決してない。そこに孔子の強さそして立派さがある。ここにも三組の矛盾した性質が「而」という字で対立矛盾のまま結びつけられている。

 おだやかだけれどもきびしい。威厳があるが猛々しくはない。礼儀正しいけれども決して固苦しくはなく自然のゆとりがある。

 東洋における人間の理想型がここにあるといえると解説する。

 

 

  

(参考文献)  

論語 増補版 (講談社学術文庫)

論語 増補版 (講談社学術文庫)

  
論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:桑原 武夫
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫