子曰わく、黙して之を識(しる)し、学びて厭わず、人に誨(おし)えて倦(う)まず。何か我に有らんや。(「述而第七」2)
(解説)
「孔子の教え。黙って心に刻んで記憶し、学んで厭きるといことがなく、人に教えて倦むこともない。それらは、この私において問題はない。」(論語 加地伸行)
桑原の解説
「黙して」というのは、だまって、つまり理屈を言わないで、ということだが、「之れ」というのはおそらく礼楽のことをさすのであろうから、言語によらず身振りで「識す」、つまり覚えこむのであるという。そうした学習に飽きることがなく、そうして得たものを人に教えて倦むことがない。これは自分にとって自然なことだから、私としてはなんでもないことだ、いったとする。
孔子はおだやかにそう述懐したのであって、もちろん威張っていったのではなかろうと言う。
(参考文献)